(前回からの続き)
近ごろ中国が、「一帯一路」構想等に基づき、アジア・アフリカ地域のあちこちに港湾とか鉄道といったインフラ設備を次々に建設していることについて、習近平国家主席の独裁体制強化の動きと合わせて日本ではこれを脅威視する報道が多いように感じられます。わたしはこれらを大して危険なものとは思っていません。なぜならこれらの多くは本稿で綴ってきた中国の投資対象と同じ、つまりマトモなコスパ感覚では考えられないほどのムダな投資に過ぎないためです。結局これらはコストに見合う利益を生まない不良債権となってかの国の重荷となるだけではないでしょうか・・・(?)
その具体例のひとつが、最近話題になったアフリカ東部のジプチに建設された中国初の国外基地です。中国は紅海の入り口に位置する戦略的なポイントに軍事拠点を持てたことを嬉しく思っているのでしょうが、だからといって何をしようというのか? まあ周囲を通行する船舶から高い通行料を取り立てるみたいなことができればいいのでしょうが、いまの国際社会でそんなえげつない行為が許されるはずがない。となると・・・しょせんこの基地は中国に何らの収益をもたらさない、国力を消耗させるだけのカネ食い虫に終わるしかないでしょう(って、海外の軍事基地って、どこも似たようなものですよ?)。
といったように中国は、貿易で稼いだせっかくのマネーを真に国を強くする方向=個人消費の向上に資する方向に振り向けず、市場原理に反した投資等に回して国内外にゴーストタウン的なハコ物ばかり(?)をこしらえているわけです。であればこの先は何となく予想がつく、つまり、成長の分け前にありつけない国民多数の不平不満感が爆発し、いつもの展開になっていくことでしょう(?)、おそらくは中国に大量に貸し込んだ欧米諸国・・・の金融機関を巻き込みながら・・・(?)
わが国はそんな中国をいたずらに危険視する必要はないと思います。かの国の実態を冷静に見極めたうえで、隣国として友好的に、けれどあまり深入りしないよう、上手に付き合っていくのが得策かと・・・
(「中国:過剰投資・過剰生産で陥る苦境」おわり)
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