日本の一大弱点をカバーする取り組みになっていくことを期待したいですね・・・
先日、東京電力ホールディングスとNTTは、太陽光発電をはじめとする再生可能エネルギーの普及と効率的な活用促進などを目指し、共同で新会社を設立することを発表しました。この事業、両社が持つ蓄電池を東電の電力網に接続、これらを介して太陽光等の電力を放充電し、再エネ拡大にともなって必要となっている出力変動の調整力を提供しようというもの。両社は今後、関東地域に所有する鉛蓄電池を高効率のリチウムイオン電池に転換することで300万kW分の蓄電容量を確保し、上記に対応する、としています。
太陽光と蓄電池のコラボ―――個人的に興味深いと感じたのは、これによって、再エネ発電で余った電気を蓄電池に貯めておき、必要時に放電するスキームが大々的に構築されることになれば、わが国(そして世界)は化石燃料への依存度を大きく下げることができそうだ、と予想するため。そんな期待がこうして一歩実現に向けて動き始めるに至った背景にあるのは、再エネとりわけ太陽光発電の急速な普及です。
資源エネルギー庁等の資料によると、太陽光発電の出力は年々、増加しています。たとえば、昨年度の全国最大電力需要日(8月24日)における合計供給力17721万kWのうち、太陽光は1901万kWと、火力(62.6%)、揚水(11.4%)に続く全体の10.7%を担う規模になっています。そして同4月30日の九州の電力需給では太陽光が日中需要の73%ほども賄うタイミングがあり、このときは火力等をかなり抑制・停止し、それでも電気が余ったので揚水動力(下の池から上の池に水をくみ上げるための動力)に充てるほどだった、とのことです。これ、太陽光で作られ過ぎた電力を使い切るための苦肉の策、といった感じ・・・って、こうでもしなければ、一定出力運転がほぼ絶対条件の(?)原子力の出力調整にまで踏み込まざるを得なかったのかも!?
といったことからも分かるように、太陽光はすでに日本の電力供給において大きな役割を果たすスケールに成長しています。他方でこれ、夜間は発電できないほか、曇りや雨の日などは出力が大きく落ちるわけで、「同時同量」(その瞬間の需要量と供給量との一致)が求められる既存の電力供給スタイルとの相性は・・・当然ながら良いはずはありません。ということは、太陽光由来の電力が増えれば増えるほど、これを自身の系統等に受け入れる電力会社の調整等コスト(電力品質を一定に保つために毎瞬の電圧や周波数を調整等するコストや、火力等の出力を調整等するコストなど)も上がってしまい、結局は需要家の金銭負担増(「再生可能エネルギー発電促進賦課金」の値上げ、など)といったことになりかねません・・・
冒頭の東電&NTTの新事業にかかるスキーム―――余剰再エネ電気を電池に蓄えておき、必要なときに使おうというもの―――は、上記「同時同量」の制約を突破するポテンシャルを感じさせるものであり、かつさらなる再エネ普及を喚起するものと期待できます。もっとも、原子力をいま以上に動かす想定をしているであろう電力会社には、これによって上記リスク(原発の出力調整)を少しでも小さくしたい、という切実な事情があるのかもしれませんが・・・(?)