(前回からの続き)
各国が密接につながり合う現在の世界にあって、外国に何も頼らずに単独で高い生活等レベルを享受できる国なんて、ひとつもありません。そう考えると、他国に依存せざるを得ないところがその国の「アキレス腱」(弱点)といえそう。まあこのあたり「天は二物を与えず」と似ていて、だからこそ、各国は仲良く助け合いなさい、ということなのでしょうが・・・
で、そのアキレス腱ですが、たとえば・・・サウジアラビアのような砂漠の産油国にとっては「食糧」だと思います。同国はかつて、地下水を活用して主食の小麦を増産し、1990年前後には小麦の輸出国になったことがありました。しかし、そのせいで地下水が枯渇したため同国は小麦生産の断念に追い込まれ、2016年以降は小麦を作らなくなってしまったもようです。当然ながら、これらはすべて外国からの輸入に頼るしかないわけで、その意味でサウジ等のこのアキレス腱は、不透明な原油価格の今後もあって、さらに脆弱になっていく傾向にありますね・・・(?)
アメリカのアキレス腱は・・・何といっても「金利」でしょう。つまり巨額のマネーを外国とくに中国と日本から借りてこないと国が保てない、ということです。金利が上がったら―――外国からのマネー流入が弱まったら―――同国経済をけん引する借金を元手にした家計の消費が落ち込み、住宅などの資産価格が急落、これによってドルも暴落し、いっぽうで金利はさらに上昇して経済恐慌が引き起こされる危機的事態に・・・(?)
先日のトランプ政権による、中国製の輸入鉄鋼を狙い撃ちにしたような関税賦課に関連して、アメリカのメディアは、中国が対抗措置として米国債の売却に踏み切るのではないか、なんて観測記事を盛んに発していました(その後、中国が逆に米国債保有額を増やしていることが分かって、この手の報道は出なくなりましたが・・・)。このへんからもアメリカが金利の上昇に怯えている様子が伝わってきます。中国が今回の貿易摩擦くらいで切り札を切るわけがないでしょう(?)。にもかかわらずアメリカがここまで中国の動きに神経をとがらす理由は・・・上記のとおりです。足元で米長期金利はとうとう「3%」を越えてきました。したがってアメリカはますます中国マネーを当てにせざるを得なくなる・・・ってことを、わが国はしっかり認識しておくべきですよ(?)。
そして、日本のアキレス腱は・・・「エネルギー」だと思っています。いうまでもありませんが、わが国は原油、天然ガス、石炭と言ったエネルギー資源のほぼ100%を海外からの輸入に依存しているためです。とくに2011年(東日本大震災が起こった年)以降、現在に至るまでの原子力の低稼働により、日本のこれらへの依存度はさらに高まった、つまりアキレス腱が弱くなった、とみるべきでしょう。よってこの脆弱性を克服するべく、化石燃料が安定的かつ安価に調達できるような戦略を推進すべきなのに・・・アベノミクスはこの間、真逆なこと、すなわち輸入エネルギーの円建て価格を一貫してつり上げようとしてきたわけです。これでは日本国は強くなれるはずがない・・・(?)