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【アベノミクス「輸出だ輸出だ輸出だ」トランプ政権で困難に】米保護主義台頭:ますます逆風の円安輸出振興②

2017-01-27 00:00:19 | 日本

前回からの続き)

 本ブログで何度も書いているように、実体経済の側面から「アベノミクス」を定義すれば、それは「円安誘導による外需狙いであるといえます。通貨安のほとんど唯一のメリットは、輸出において価格競争力を得られること。これを最大限、活かして、輸出・・・とりわけ、世界最大の消費市場であるアメリカへの輸出を経済成長のメインエンジンにしよう!といったあたりがアベノミクスだったはず・・・

 ・・・こちらの記事等でも述べているとおり、日本の経済・産業構造からいえば、(対米)輸出振興が日本経済を押し上げる効果は限定的です。にもかかわらず「円安輸出振興で成長だ!」というのがアベノミクスなんだけど・・・日本のGDPは「貿易黒字」(純輸出)を年間1.3兆ドル(現在のレートで約150兆円!)は稼がなければ、国際基準(ドル)換算のGDP比較でアベノミクス以前と同等にすらなりません。150兆円―――これ、欧州の大国(たとえばスペイン)のGDPに匹敵するほどの巨大な規模。これほどの額の貿易黒字を、円安で原材料の円建て輸入額が急膨張するなかで、いったいどうやって稼得しようというのかアベノミクス!? 日本の総輸出額ですら約75兆円(6250億ドル:2015年)ほどだというのに・・・?(実際アベノミクス以後の日本は、それ以前との比較で数十%もの超マイナス成長にあえいでいる・・・) 

 ・・・それでも「気合いだ!」よろしく「輸出だ輸出だ輸出だ~!」というのなら、わが国は150兆円もの貿易黒字額の多くをアメリカからゲットするしかありません。となるとアベノミクスは・・・いまの中国(対米貿易黒字額約40兆円!)を軽~くしのぐほどの集中豪雨的な輸出攻勢をアメリカに仕掛ける以外にない。そのためには日本列島を「対米輸出基地化」するくらい気合いを入れないと・・・たとえば、日本の自動車メーカーに対して、それらがアメリカに作った生産拠点をすべて日本に戻させる、すなわち米現地生産から日本からの輸出に全面シフトさせるくらいドラスティックなことを政策的に進めなければならないはずです。

 これらがすべて実行できてはじめてアベノミクス日本は、円安輸入増を差し引いてもなお数十兆円もの貿易黒字をアメリカとの貿易で得ることができる・・・かもしれない。そうなれば国民は、たとえ輸入物価が跳ね上がっても、それをマイナスしても余りある所得を得られ、ようやくアベノミクスの恩恵を実感できるようになる・・・(?)

 ・・・こんなことができますか?ということです。個人的にはチョ~非現実的としか思えません・・・が「いや、できる!」がアベノミクスなのでしょう。たしかに「できる」かもしれません、日本人全員が本気になれば・・・。でも実際には不可能と断言できます。なぜなら、貿易相手国がこれをけっして許さないから。日本が輸出振興で数十兆円もの貿易黒字を稼ぐということは、その貿易相手国は同額の貿易赤字を抱えることを意味します。相手は国富をすり減らすとともに、自国市場を安価な日本からの輸入品に奪われ、自国産業は衰退して、多くの雇用が失われてしまうわけです。そうした意味でアベノミクス(円安誘導)的輸出攻勢は典型的な「近隣窮乏化」政策にほかならない。これをアメリカ様が認めるわけがないでしょう。しかもアメリカの新大統領はドナルド・トランプ氏ですよ・・・

続く

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