(前回からの続き)
前回、中国が約1.7兆ドルもの対外債務を抱え、その多くが同国の民間企業のものであることを指摘しました。では逆に、これらの債権者はいったい、誰なのでしょうか?
・・・このあたり、まあ当然でしょうが欧米の、とくに欧州の金融機関が中国に巨額の貸し付けを行っているもようです。たとえば、少し前のニュースになりますが、2016年の「パナマ文書」(租税回避行為に関する機密文書)暴露に関連して明らかになったこととして、ユーロ圏の銀行の対中投資が日米等と比べても突出しており、なかでもドイツ銀行の投資額が多く、それはオフショア市場に限っても日本円で数兆円相当と推測されるとのこと・・・
同行を含む欧州大手行は、サブプライムローン・バブル崩壊(2007年)で米市場に期待できなくなった頃から中国への投資にのめり込んでいったみたいです。その後ユーロ圏では、ギリシャのソブリン危機等も起こって景気が低迷したこともあり、各行はこの時期、巨額投資政策で経済成長の著しい中国市場に活路を見出そうとしてきました。とくにドイツは熱心で、メルケル首相が2016年の訪中時、中国首脳と総額27億ユーロの大型商取引に調印するなど、中国が進める国づくりや「一帯一路」構想にも深くコミットしている感じです。であれば、ドイツをはじめとする欧州各国の金融機関が、これらに関与する中国企業への融資等に傾倒するのもうなずけるところ・・・(?)
・・・といったような事情があって中国は、世界最大の外準国、そしてトップクラスの経常黒字国であるにもかかわらず、兆ドル単位のおカネを外国から借金するに至りました。そして欧米各国(とくに欧州と思われる?)の金融機関は彼らへの貸し手として存在感を高めてきました。ということで中国と欧米諸国は、マネーを仲立ちとして、わたしたち日本人が想像する以上に強く結びついているものと想像されます。つまり両者は一蓮托生―――相手がコケてしまったら自分も同じように大損する(その逆も然り)―――というわけです(?)。
これまで綴った経緯などから中国は今後、過剰投資&過剰設備のさらなる是正に否応なく取り組まざるを得ないでしょう(?)。その過程で多くの企業が破綻に追い込まれ、その債務の多くが不履行になるものと思われます(?)。となると・・・中国各社にさんざん貸し込んだ金融機関も相当なダメージを食らうことになりそう。もちろんその悪影響はデリバティブなどを通じて米銀等にも伝播し、世界的な金融不安を引き起こしかねません(?)。