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【中国GDP、投資を下げて個人消費を上げるのは不可能】中国:過剰投資・過剰生産で陥る苦境③

2018-04-07 00:00:35 | アジア

前回からの続き)

 前回綴ったように中国は、異様なほどのスケールで投資に邁進した結果、巨大ゴーストタウンに代表される無茶無益なハコ物を大量に作ってしまったほか、鉄鋼業界などは日本の数倍もの生産能力を有するに至りました

 さすがに中央政府はこうした過剰投資の弊害に気が付き、2014年あたりからその抑制に動いているようで、GDP成長目標を引き下げ、いっぽうで内需型への経済構造改革を進めるとしています。現に2014年の同国GDPに占める投資のシェアは44.8%と、2011年から3%あまり下がりました。鉄鋼設備も2016.17年の2年間で1.1億トン以上を削減し、今年はさらに3千万トン分を減らす予定とのことです。

 とはいっても・・・この改革、そううまくはいかないでしょう。企業リストラは失業者を増やすリスク等が想定されるうえ、中国はこれまで投資(およびこれを実行する国有企業等)におカネを振り向けるばかりで、国民一人ひとりを豊かにするような政策の実行を怠ってきたからです。したがって急に投資や設備を減らしたところで、その穴を埋めるほどに個人消費が盛り上がるとは考えられません・・・

 このあたりの実態も先般ご紹介した無人のマンション群が物語っています。それらの多くは立地等に難があるのはもちろん、周辺住民の大半にとっては価格がそもそも高過ぎるわけです。他方でディベロッパーは当然、採算割れの投げ売りは回避しようとします。こうして、売り手と買い手の間で価格の折り合いがつかず、未成約の物件が積み上がって、結局は「鬼城」があちこちに生まれることに・・・

 中国のGDPに対する個人消費の割合は4割弱(201739.1%)です。4兆元景気対策が実施されていた2010年に記録した過去最低値35.6%からは上がったものの、同年のアメリカ(69.1%)や日本54.6%)などど比べると依然として低いレベルにとどまっています(って、アベノミクス日本の値がじりじり下がっているのも気がかりですが・・・)。この個人消費を増やすのには、投資などと違って、手間も時間もかかります。勤労者の所得をもっと上げなければならないし、年金や医療保険といった社会的安全網の整備も必須でしょう。差別的な戸籍制度の撤廃を含めた各種の格差是正にも早急に取り組まなければなりません。でもこれらは・・・悠久の歴史が証明しているとおり、中国にはまず、できるはずがないわけです・・・(?)

 以上により、中国は消費拡大策を断念し、今後も手っ取り早くGDPの上乗せができる投資主体の経済運営を進めるしかなさそうです(?)。まあ・・・上記の設備削減等のおかげで、昨年は鉄鋼価格が2015年の3倍近くに上がったようですが、冬季の生産抑制策が解除されれば、高値につられてふたたび供給が増え、その価格は下落に向かうのではないでしょうか(?)。かといって投資拡大以外に中国経済をけん引する方策はなさそうだし、よって鉄鋼等の増産は止められず、その過程で余計に作られた分は薄利多売の輸出に回すことになって、アメリカ・・・のドナルド・トランプ大統領をさらに怒らせる、という展開になるような気がしますが・・・(?)

(続く)

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