中国が提唱し、年内の立ち上げが予定されているアジアインフラ投資銀行(AIIB)の創設メンバーになるための申請期限(3月末日)が過ぎ去りました。この結果、ほぼ50の国・地域が参加を表明した一方で、ご存知のとおり、日本は参加を見送りました。で、その理由ですが、AIIBの公平なガバナンスや債務の持続性を無視した貸付によって出資者が損害を被るリスク等についての問題提起をしているけれど、中国から明確な説明がないため、といったことのようですが・・・。
わたしは個人的に、日本はAIIBに創設国として参加すべきだったし、(もはや創設時のメンバーにはなれず、特別扱い?をしてもらえないまでも)今後も加入に向けて積極的に動くべきだと考えています。なぜならAIIBには次に挙げるような「主要国」がメンバーとして名を連ねており、上記の理屈は真っ当な面があるにせよ、わが国としては早急に参加して各国と「お付き合い」したほうが得策と思うから。
で、そのメンバーの顔ぶれですが・・・AIIB設立提案国の中国をはじめ、アジア各国(韓国、ASEAN各国、インド、台湾など)や欧州各国(英、仏、独、伊、ロシアなど)などとなっています。いずれもいまの日本にとって「主要国」つまり政治・外交・貿易などの面で重要な国ばかりです。
ここで注目されるのは次の2点。第一は、中国との現状の関係が必ずしも良いとはいえない国々―――フィリピン、ベトナム、インド等(いずれも中国との間で領土問題を抱えている国々)もAIIBへの加盟意思を示していること。中国(共産党政府)を正式な国家と認めていない台湾までが参加を申請しています。そして第二は、イギリス、オーストラリア、ニュージーランドの英連邦3か国が早々と同参加を表明したこと。その意味するところは後ほど述べるとして、これら諸国はどこも、さまざまな観点から自国の国益を考え、熟慮の結果、AIIBへの参加を決めたのだろうと想像しています。
その逆に、日本を含め、AIIB創設国にならない道を選んだ周辺国はほんのわずか・・・。それは、(無慈悲なことに中国に参加を断られた!)北朝鮮、カナダ、そして・・・中国の経済金融的な存在感の高まりを警戒してか、AIIBへの参加に慎重であるべきと友好国に対して呼びかけてきたアメリカ・・・。
というわけで、日本がAIIB参加を見送った本当の理由は、そのガバナンスがどうのこうのではなく、ひとえに北朝鮮の大将様、おっと間違えたアメリカ様が参加しないから、なのでしょう。