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【日本経済には本来、通貨安環境へのインセンティブはない】アメリカ様の一方的な評価に見える鋭い分析②

2018-04-17 00:02:09 | 日本

前回からの続き)

 今月13日に発表された米財務省の為替等報告書は日本について、

 (1)対米貿易黒字額が690億ドル(2017年)と大きいこと

 (2)経常黒字額がGDPの4%に達していること

 (3)円が過去20年の平均値よりも25%近くも安いこと

などの点を指摘して、中国など他の5か国とともに「監視リスト」国に指名し、アメリカへの輸出に有利なように人為的かつ過度な為替介入等をしないかどうかモニターしていくとしています。ちなみに上記3点―――対米黒字、経常黒字、為替介入―――がアメリカの定める所定の条件を上回ると、アメリカは当該国を為替操作国とみなして経済制裁等を課す検討をすることになっています・・・

 さて、アメリカの日本についての上記指摘は・・・当然ながら、そのとおりです。ただしこのあたり、ちょっと補足したほうがよろしいかと思うので申し添えると・・・まず日本の対米貿易黒字額ですが、先日のこちらの記事でも書いたように、ここ数年、じつは金額的にはそれほど増減はありません(ドル換算額ではアベノミクス前よりもむしろ減っていたりする・・・)。つまりわが国は、後述するアベノミクス円安をテコに輸出額(ドル換算額)を増やしているわけではない、ということになりますね。円安環境にもかかわらず、このように大きな変動が見られない理由はこちらの記事で論じたとおりです。日本の「輸出」(アメリカにとっての日本からの輸入)はすでに為替レートに大きく影響されない構造となっている―――このへんはアメリカ様にもご理解いただきたいところです。

 日本の経常黒字は2015年以降、かなりの額になっています。これは、輸出が増えたから・・・ではなく、これまたこちらなどに綴ったように、2014年後半に起こった「逆オイルショック」にともなう原油価格&資源価格の大幅な下落により円建て輸入額が減ったことが最大の要因です。これにより貿易収支(純輸出=輸出-輸入)が大きく改善し、所得収支黒字と合わせた経常収支も2010年ころまでの水準に回復したというわけです。

 これらから日本経済は・・・上述のように、べつに円安にしたところで輸出が急増するわけではなく、円建て原材料輸入額が減ると国際収支がこうして良くなるから、そもそも通貨安環境を望むような構造ではないことが分かります。別な言い方をすると、円安になれば、貿易収支は同輸入額が膨らんで悪化するうえ、円安インフレが起こって内需の要「個人消費」が落ち込んでしまうのでマイナス成長に陥るリスクが高いことに・・・。したがって日本には本来、自分から通貨安政策を採用するインセンティブがないわけです(?)、あくまでも実体経済的には。ゆえにアメリカ様には、日本が(中国みたいな?)為替操作国になることはありませんよ、だってそんなことをしたら自分が苦しむだけだから、と言って差し上げたいところです・・・

 ・・・が、実際には上記(3)のとおり、アベノミクス以降は極端な円安になっています。これによって日本は本当に劇的な「マイナス」状態(GDP国富実質所得・・・)にあえいでいるわけですが、安倍政権・黒田日銀ともにこれを好ましいと思っているのは明らかです(?)。いったい、なぜ?

(続く)

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