(前回からの続き)
以上、異様なまでの米株バブルの背景について考えるところを綴ってきました。日米欧中銀の金融緩和(QE)がもたらした大量の低利マネーがリスク資産、なかでもその代表格である株式の価格を押し上げているわけですが、その高値の拠り所となっている企業の巨額利益は多くの場合、市場メカニズムを排除した寡占・独占によってもたらされている―――このような、QEマネーと寡占・独占利益のコンビネーションが株価高騰の大きな理由なのだろうと推察する次第です。
かようにアメリカは、企業活動によって生み出される利益の大半を経営者&投資家が独り占めする国になってしまった・・・そんな印象をぬぐえません。その一方、大多数の米国民は、株主利益を極大化するなかで形成された寡占市場にあって、競争原理の恩恵に浴することができず、財・サービスの高価格化・低品質化という害悪に苦しめられるばかり・・・
さて今後の米株価、どうなっていくでしょうか? 本ブログでは何度か、ピークは打った、と書いてきたにもかかわらず、一時的な調整局面はあっても、これをこなしてここまで上がってきたわけです。なので、すっかりオオカミ少年の気分ですが、それでも前述のアップル、フェイスブック(FB)、テスラモーターズの株価とか時価総額を見れば明白なように、適正なレベルからどんどん高みに上がってしまい、もはやいつ急落に転じてもおかしくはないところに来ている、とみています。では、どこまで下がり得るか、ですが・・・
上のグラフは先日ご紹介の上記3社とトヨタ自動車のPBR(株価純資産倍率)を比較したもの。これによるとトヨタはほぼ「1」(1.06)つまり現状の株価と解散価値(事業を止めて企業を解散したときに得られる株主の取り分)がおおむね等しく、その意味では同社の株価は妥当な水準にあると思われます(いや、トヨタの将来性を考えると、同社のいまの株価は低過ぎるのかもしれない?)。いっぽうの米3社は・・・その将来性とか成長性をどれほど甘めに評価しても明らかにチョ~高過ぎ!ということで、かりにトヨタなみの「1」に落ち着くとしたらアップル、FB、テスラの株価は現在の1/6、1/7、1/11にまでしぼむことに・・・?
・・・そんな潜在的な暴落リスクをはらみながら米株価はいま、史上最高値付近にあるわけです。投資家ならずとも非常にコワイ状況で、ちょっとしたきっかけで同3社株を含む株価は「1」(以下?)、要するに真っ当な株価に向かって駆け降りる可能性が・・・って、そのきっかけですが、こちらの記事に書いたようなジャンク債発行企業のデフォルトとか家計のローン破綻増加、そして金融機関の経営不安・・・と連鎖的に起こることが想定できるわけで・・・