「アメリカは自国相手の貿易で黒字を稼ぎまくる国にイラつくわけです。これ重要、そして要注意・・・」―――本当にこのとおりになってきましたね・・・
今月1日、米ドナルド・トランプ大統領は、外国からアメリカに輸入される鉄鋼製品に25%、アルミニウム製品に10%の関税を課すことを発表しました。いっぽうで北米自由貿易協定加盟国のカナダとメキシコ、そしてトランプ氏のツィートによれば「同盟国であり偉大な国(our ally, the great nation)」オーストラリアへの本適用は除外しました・・・が、どうやら中国、欧州、そして日本の製品にはしっかりと税金をかける構えのようです。
個人的にこれ、あちらこちらで指摘されているとおり、日本や中国などはもちろん、当のアメリカ自身にとってもダメージの大きなネガティブな政策と考えています。同国は現在、100か国を超える国々から鉄鋼製品を輸入しており、そのスケールはアメリカからの輸出の4倍にもなっています。いっぽう国内で生産されている鉄鋼製品は2000年には1億1200万トンでしたが2016年には8650万トンにまで減少しています。これらをふまえると現状、アメリカは自身の鉄鋼需要を外国製品で充たすしかないため、これらの価格が急に跳ね上がったらどうなるかは明白です。「シンプルにいえば、アメリカの製造業者、労働者、消費者に対する増税だ」(a tax hike on American manufacturers, workers and consumers)とオリン・ハッチ上院財政委員長が述べていますが、そのとおりだと思います。よってこのトランプ関税、米経済と国民経済への悪影響もまた甚大、ということになりそうです・・・
さて、この騒ぎ(?)のなかで日本があらためて強く認識しなければならないことがあります。それは、冒頭のフレーズを含む以前記事のタイトルのとおり「円安輸出攻勢はアメリカ様が許さない」ということです。今回はこれが誰の目にもハッキリと分かる、つまりはアメリカが日本の対米貿易黒字を「やり玉」に上げ始める展開になってきました。米トランプ政権は、大切な同盟国であるはずの日本をあからさまに敵視してきたわけです、中国などと一緒にして・・・って、アメリカ第一主義を標榜するトランプ氏にしてみれば当たり前なのでしょうが・・・
もっともこれ、予想できたことではありますね。実際に同氏は、昨年11月の来日時における日米財界人との会合において、日本との貿易は公正、オープンではないと述べ、日米間の貿易不均衡に強い不満感を表明していました。ちなみにこのあたりは数字でも分かります。米財務省によればアメリカの対日貿易赤字額は現在689億ドル(2016年)。これは中国(3470億ドル)について2番目の大きさです・・・