スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

東京シンデレラマイル&精査

2023-12-30 19:16:44 | 地方競馬
 第17回東京シンデレラマイル
 フラテルニテが押していきましたが内から追い抜いたラビュリントスの逃げ。2馬身差でフラテルニテが追い,2馬身差でツーシャドー。その後ろはパワースレイヴとレディオスターの併走で直後にサダムスキャット。2馬身差でサーフズアップとメイドイットマム。その後ろはグランパラディーゾとスピーディキックとラムリケティで集団。2馬身でセパヌイールとサブルドールとノーブルシルエット。ラブラブパイロとサルサレイアは発馬後の正面では前から6馬身ほど離れていましたが,向正面の半ばでは馬群に追いついてきました。前半の800mは49秒5のハイペース。
 3コーナーからラビュリントスの外にフラテルニテが並び掛けていくと,外からツーシャドーが追い上げ,フラテルニテは後退。捲った勢いで外の方からツーシャドーが先頭に立って直線。その後ろは馬群が横並び。内の馬にぶつけられて外に弾かれたものの立て直して伸びてきたスピーディキックが差し切り,後方から大外を伸びたラブラブパイロの追い上げを凌いで優勝。ラブラブパイロがクビ差で2着。やはり後方からラブラブパイロのすぐ内から追い込んだサルサレイアが2馬身差の3着。ツーシャドーの内から追ったサブルドールがアタマ差で4着。
                                   
 優勝したスピーディキックは昨年の東京シンデレラマイル以来の優勝で南関東重賞7勝目。連覇で東京シンデレラマイルは2勝目。今年は重賞ばかりを使っていたのでここまで勝っていなかったのですが,それでも大きく崩れていたわけではなく,南関東重賞に戻れば当然の優勝。僕はこの馬は古馬の重賞を勝てるだけの力があるとみていますので,今年の成績は残念に思っています。来年はうまくレースを選択してそれを達成してほしいところです。父はタイセイレジェンド。母の父は2003年にシンザン記念と武蔵野ステークス,2007年の佐賀記念を勝ったサイレントディール
 騎乗した大井の御神本訓史騎手は船橋記念以来の南関東重賞68勝目。第8回,12回,16回に続き連覇となる東京シンデレラマイル4勝目。管理している浦和の藤原智行調教師は南関東重賞8勝目。東京シンデレラマイルは連覇で2勝目。

 ステノNicola StenoがチルンハウスEhrenfried Walther von Tschirnhausから『エチカ』の草稿を入手し,危険な書物であるから出版されたら禁書処分にした方がよいという上申書を提出するまでの間に,一定の期間があったようです。これは,入手した草稿をステノが精査したからだと思われます。つまりステノは,それがスピノザが書いたものだからという理由だけで,禁書処分にしなければならないと考える人物ではなかったということを意味することになります。きちんと内容を理解して,その上でやはりこれがカトリックにとって危険な書物であるから禁書処分にした方がよいという上申書を提出したのです。これはステノの人物像を明らかにするようなエピソードといえると思います。
 ステノはオランダ,おそらくライデンLeidenに滞在していた頃に,スピノザと親しく交際していたと思われます。この当時は無神論者ということが,放埓で野蛮な人間ということをも同時に意味し得たのですが,ステノはスピノザが無神論者であったとしても,そういう人間ではなかったということはよく知っていたでしょう。今回の考察の中で紹介した,スピノザに対してユダヤ人共同体に残るように慰留があったということを指摘しているベールPierre Bayleも,スピノザが品行方正であったことは奇妙に思われるかもしれないけれども,キリスト教を信仰していながら放埓な生活をしている人もいるのだから驚くに値しないといっていて,ベールと異なってステノはスピノザ本人のことを知っていたのですから,余計にそのように考えることができたと推測されます。だからステノはスピノザの著作物であるという理由だけで禁書処分にすることはできないと考えたのかもしれません。ただ,精査したということがステノがどういう人物であったのかということを明らかにする一端にはなっていると僕は思います。
 先述しておいたように,ステノとチルンハウスとの一件は,工藤の死後に明らかになったことですから,工藤は知る由もありませんでした。しかしそれ以外の事実は工藤はスピノザの研究者としてよく知っていたといわなければなりません。それを知りつつ工藤はカトリックの洗礼を受けたのです。これは大きな決断だったと僕は思います。
コメント
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