スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

ダノンレジェンド&奇蹟

2023-12-16 19:03:30 | 名馬
 勝島王冠を勝ったサヨノネイチヤの父はダノンレジェンドです。
                                  
 母はマイグッドネス。6つ下の半弟に2019年に共同通信杯と毎日王冠,2020年に中山記念,2021年に安田記念を勝ったダノンキングリー
 2歳11月にデビュー戦を勝利。その後は5連敗して3歳の8月に2勝目。さらに3連敗して4歳の3月に3勝目をあげると次のレースも勝ってオープン馬に。オープンの2戦は連敗。降級して初戦が2着で2戦目に勝ち,オープンに戻りました。次のオープンも負けたのですが12月のカペラステークスで目が醒めるような追い込みを決めて重賞初制覇。ここから快進撃が始まります。
 5歳初戦の黒船賞で重賞2勝目。さらに東京スプリントも勝ちました。北海道スプリントカップは3着だったのですがクラスターカップで重賞4勝目。さらに東京盃も勝ちました。JBCスプリントは1番人気に推されたものの2着。
 6歳初戦の黒船賞で連覇達成。東京スプリントは3着でしたが北海道スプリントカップは勝って重賞7勝目。さらにクラスターカップも連覇しました。東京盃は5着に負けたもののJBCスプリントを勝って大レース制覇。これを手土産に引退しました。
 徐々に力をつけてオープンに出世し,重賞制覇を達成すると快進撃を開始。大レース制覇を手土産に引退というのはサウスヴィグラスにそっくりです。ダノンレジェンドの産駒は勝ち上がり率が非常に高いのが特徴で,当初の期待よりは種牡馬としてすでに成功しているといっていいと思います。サウスヴィグラスほどの大種牡馬になれるのかは分かりませんが,その可能性はあるかもしれません。

 『神学・政治論Tractatus Theologico-Politicus』のスピノザの聖書解釈には,いくつかの核があります。そのうちのひとつに,奇蹟miraculumを認めないということがあります。これは,第一部公理三と関連しているのであって,必然的にnecessarioそのような結果effectusとなる原因causaが与えられていないことは,自然Naturaのうちには生じないという意味をもちます。こうした現象を仮に自然現象といっておくとすれば,奇蹟とは自然現象を超越した現象という意味になるのであって,そういうことが現実的に存在する世界のうちに生じることはあり得ないとスピノザはいうのです。
 だからスピノザはいわゆるイエスの復活,死んだイエスが生き返ったということは認めないのであって,書簡七十八ではそれを比喩的に解するといっているのです。したがって,これはスピノザが直接的にいっているわけではありませんが,マリアが処女のまま懐妊してイエスを出産したということも,自然現象には反することになりますから,スピノザはそれを比喩的に解するというでしょう。
 この考察とは関係ありませんが,このことは,新約聖書で奇蹟とされているすべてのことを比喩的に解さなければならないということを意味するわけではないということには注意してください。たとえば新約聖書の中でイエスは様ざまな病人を癒し,それは奇蹟と規定されていますが,その中には,ひどい精神的な抑圧によって身体的に不調を来していた病者に対して,イエスが精神分析のような仕方で抑圧を解放したために身体的な不調も癒されたと解釈することができるものがあるのであって,こうしたことは自然現象として現実的に生じ得ますから,奇蹟と規定されていても現実的に生じたことであると考えることができます。すなわち,スピノザがいっている奇蹟というのは,あくまでも第一部公理三に反するような現象のことをいうのであって,新約聖書の中で奇蹟といわれているすべての事柄を意味するわけではありません。したがって,聖書の中で奇蹟と記述されているすべてのことを比喩的に解さなければならないというわけではありません。自然現象として解せることはそう解せばよいのであって,比喩的に解さなければならないのはそれ以外のことです。
コメント
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