スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

竜王戦&欲望の原因

2021-08-31 18:58:05 | 将棋
 昨日の第34期竜王戦挑戦者決定戦三番勝負第二局。
 藤井聡太二冠の先手で相掛かり。後手の永瀬拓矢王座が横歩を取る将棋になり,早い段階で戦いに突入しました。
                                        
 先手が桂馬を跳ねた局面。後手は☗9四歩を受けて☖7四飛と引きました。ただこの位置に飛車を引くのは危険な意味もあったようです。
 すぐに☗8三角と打つのも有力ではあったようですが,先手は成算が持てなかったため☗4八王と上がりました。
 ここで☖8八歩と打ったのですが,この手が敗着級の手になってしまったようです。☗同金☖1四角☗6五飛☖6九角成☗7八銀☖7九馬で馬を作りましたが,金取りを無視して☗8三角と打たれました。
                                        
 後手は駒得は見込めるのですが,先手玉がやや遠く,攻め合って勝つのが難しくなりました。
 連勝で藤井二冠が挑戦権を獲得。竜王戦七番勝負には初出場。第一局は10月8日と9日に指される予定です。

 第五部定理二八第三種の認識cognitio tertii generisでものを認識しようとするといわれている欲望cupiditasは,第二種の認識cognitio secundi generisから生じるとされています。僕たちがあるもの,たとえばXを認識するcognoscereということは,僕たちの精神mensのうちにXの観念ideaが生じるという意味です。そして,第二種の認識でXを認識するという場合は,このXの観念は十全な観念idea adaequataです。第二部定理三八第二部定理三九の様式で僕たちの精神のうちに形成される共通概念notiones communesが第二種の認識の基礎となるのであり,この共通概念が十全な観念であるということはこれらの定理Propositioから理解できます。かつこの共通概念が基礎となって何らかの事柄が認識されるなら,それは第二部定理四〇の様式で僕たちの精神のうちに発生するのですから,それもまた十全な観念です。つまり第三種の認識で事物を認識しようとする欲望は,十全な観念からは生じ得ると,第五部定理二八はいっていることになります。一方,この定理でいわれている第一種の認識cognitio primi generisは,事物の混乱したあるいは毀損した認識のことを意味するのですから,僕たちが第一種の認識であるものたとえばXを認識するということは,僕たちの精神のうちにXの混乱した観念idea inadaequataが発生するということを意味します。したがって第三種の認識で何事かを認識しようとする欲望は,混乱した観念からは生じ得ないということも,第五部定理二八はいっているということになります。
 ここで再び第三部定理一に注意すれば,僕たちは働きを受けるpatiことによって事物を混乱して認識し,働くagereことによって事物を十全に認識するのですから,要するに,僕たちが働きを受けているうちは事物を第三種の認識で認識する欲望は発生し得ないけれど,僕たちが働いている場合には,そうした欲望が発生し得るということが理解できます。したがって,第三種の認識で事物を認識することへと向かう欲望というのは,それ自体が働きを受けることによって生じる欲望なのではなくて,僕たちが働くことによって生じ得る欲望であるということになります。あるいは同じことですが,それは僕たちの受動passioからは絶対に生じることがない欲望なのであって,僕たちの能動actioからのみ発生し得る欲望であるということになります。
コメント
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