スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

ダービー&イエスの復活

2007-05-27 22:14:46 | 中央競馬
 今日の第74回東京優駿(日本ダービー)では,おそらく日本の競馬史に残るであろう快挙が達成されました。
 正面からの発走で,まずサンツェッペリンが先頭に立ちましたが,外からアサクサキングスがこれを交わしてこちらの先導。前半の1000メートルは60秒5で,スローペースとなりました。
 直線に入ってサンツェッペリンがアサクサキングスに並び掛け,ここで後続との差が広がりました。長い直線で何が追い込んでくるかとみていると,中団のインに控えていた紅一点のウオッカが馬場の中央から真一文字の伸び。そのままアサクサキングスを楽に交わしさると後続に3馬身もの差をつける圧勝劇を演じました。アサクサキングスが2着に逃げ粘り,一番外から追い込んだアドマイヤオーラが3着。
 優勝したウオッカ,四位洋文騎手,角居勝彦調教師はそろって昨年の阪神ジュベナイルフィリーズ以来の大レース制覇。母系はフロリースカップ系。牝馬のダービー優勝は64年ぶりとのことですが,これは戦中のことですし,何より当時はオークスが秋に行われていたために牝馬もダービーに出走しやすく,あまり比較の対象にならず,実質的にはこれが初制覇とみなしていいと思います。もしかするとこれまでの日本競馬の常識を覆すような馬に育つかもしれません。
 2着のアサクサキングスは今日はすんなりとレースを運べたことが好走の要因。ホワイトマズルの産駒というのは一様にこうした傾向があるようです。
 3着のアドマイヤオーラは惜しい競馬で,今日はフサイチホウオーをマークし過ぎたように思います。ただ最後は大きく左に寄れているように,距離面には限界がありそうです。
 フサイチホウオーは気負いすぎていました。向正面ではなかなか抑えが効かないような状況で,これでは勝ち負けはできないでしょう。
 ヴィクトリーは発走後に挟まれてしまい,ほとんど最後方に。1コーナー過ぎから上がっていきましたが,あそこで脚を使ってしまってはやはり勝負になりません。

 第二部定理一七系については,やはりこの後の備考でスピノザがある実例をあげていて,これはこの系の意味を具体的に理解するために適材だと思いますので紹介します。
 新約聖書には,イエスが十字架に磔になり息絶えた後に復活し,マグダラのマリアを始めイエスをキリストと信じる人びとの前に姿を表したとあります。しかしこれは不思議なことではないというのがスピノザの考え方。なぜなら,これらの人びとはイエスの生前にイエスから刺激を受け,イエスが現実的に存在すると知覚していたわけですから,たとえイエスの死後であっても,この人びとが生きているうちは,この人たちの身体の中に,イエスから刺激を受けたときと同じ運動が生じるならば,イエスが現実的に存在すると知覚したとしても,これは合理的に説明することができるからです。これは第二部定理一七の証明にあるように,この知覚の観念が単にイエスの本性だけを含むのではなく,たとえばマグダラのマリアの場合には,マグダラのマリアの本性をも含んでいるということから明らかだといえます。すなわち,人間が外部の物体について,それが現実的に存在することを知覚する観念というのは,その外部の物体の本性よりも,自分自身の身体の本性あるいは状態といったものをより多く含んでいるのです。
 イエスの復活というのは,この人びとがイエスの死後のこの自分たちの知覚について,それを真の観念であると思い込んだために生じたと,少なくともスピノザの哲学の立場からはいえるでしょう。しかしここには,誤謬とは何であるかということが関わってきますので,これについては後回しとすることにします。
コメント (4)
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