スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

名人戦&第二部定理一七系

2007-05-24 22:57:02 | 将棋
 17日と18日に指された名人戦七番勝負第四局は,相矢倉▲3七銀ー△6四角の戦型になり,結果としては先手の森内俊之名人が快勝となったのですが,その勝利へと至る道の発見は,決して容易なものではなかったのではないかと思います。
 矢倉なので中盤から。角交換の後,後手の郷田真隆九段が58手目に先に△4七角と打ち,先手が▲4一角。後手が先に馬を作って5四に引き付けましたが,77手目の▲5八飛から先手はこの馬を目標に。後手は△4七角では△6九角と深く打ち込み,4七に成り返る手もあったかもしれません。
 84手目,△5四歩と飛車先を止めたのに対して▲2三歩が好手。これに対して△3一玉と角に当てて逃げたのも凄い手だと思います。ここから92手目の△5二同飛までは変化の余地がない一本道と思われますが,ここで▲4三歩と垂らしたのがまた好手。2枚の垂れ歩が後手玉を追い詰めます。△4三同金とこちらの歩を払いましたが▲5三金と打ち込み清算してから▲5四銀と出たのが決め手で,△同馬▲同飛△同飛に▲4三角が詰めろ飛車取りで後手の投了となりました。
 結果的に先手が攻めきるか後手が受けきるかという争いになり,そのまま攻めきったわけですので,快勝ということになると思うのですが,有力に思える攻め手順の中にも,きちんとそれが勝利に結びつくものはごく僅か,もしかしたらこの将棋の手順しかなかった筈で,それを発見した森内名人の指し回しが見事であったというほかないと思います。
 これで2勝2敗。次の第五局が大一番という展開になりました。

 明日は岸和田記念の2日目優秀,千亀利賞が行われます。並びは予想ですが,佐藤-岡部-内藤の北日本,村上-前田-志智の近畿中部,井上-紫原-島田の九州で3分戦でしょうから,これを前提に予想。佐藤選手◎と岡部選手○の方を上位に考え,村上選手▲と前田選手,そして井上選手△。

 第二部定理一七には系があって,これも人間の精神の事物の表象に大きく関係していますので取り上げます。「人間身体をかつて刺激した外部の物体が,もはや存在しなくても,あるいはそれが現在しなくても,精神はそれをあたかも現在するかのように観想しうるであろう」。
 この系がいわんとするところは次のようなことだと思います。ある人間の身体がある外部の物体Xの本性を含むような仕方で刺激されると,第二部定理一七により,その人間はXが現実的に存在すると知覚します。そこで,その人間がかつてそうしたことを1度でも経験したことがあると仮定します。するとその人間は後に,Xが存在をやめても,つまり何らかの事情でこのXの存在がこの世から消えても,あるいはそうではなく,Xは存在をやめたわけではなく,どこかに現実的に存在しているのだけれども,この人間の現前には存在していない場合でも,この人間はXが現実的に存在すると知覚し得るということです,
 ここで何が重要かといえば,人間はかつて1度でもその本性を含むような仕方で刺激されることによって,それが現実的に存在すると知覚した物体については,それ以後は,その物体が本性を含むような仕方で自分の身体を刺激しているのではない場合でも,その物体がまさに自分自身の現前に現実的に存在すると知覚する場合があるということです。
コメント
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