先日、未納の原稿に後ろ髪を引かれる思いで(笑)、パナソニック汐留美術館で開催中の「クールベと海〜フランス近代 自然へのまなざし」展〜行ってきました。
面白かった日曜美術館「クールベ〜私は世界でもっとも傲慢な男」だけど、
何だ美術館が閉まってて見れないじゃないか!
この展覧会は、以前ブログで紹介した時には閉まっていて見られず。ようやく再開したのですが、すみません…本日が最終日です。まったく泥縄式の行政に翻弄されるこの頃ですが、見られなかった方のためにもご紹介をいたしましょう。
驚いたのが、絵の本質とは関係ありませんが、展示作品のほとんど国内の美術館が収蔵していたものだったことです。コロナの影響があるのでしょうが、日本でクールベは人気があるのですね。
多かったのが山梨美術館 、島根美術館、新潟県立近代美術館など。
ポーラ美術館はいつもように、粒よりの1点が燦然と輝いておりました。
いや〜、みなさん。ええもんお持ちやな(笑)。
クールベといえば自然の描写で知られる画家ですが、絵はほぼ独学で習得したとあって、初期の作品を見ると、たしかにアカデミックな教育を受けた画家とは明らかに違う筆致でした。
同じく展示されていたコローなどの絵と比べると、その違いは一目瞭然。
クールベは、後から技術が上がっていった画家で、その点ダリなんかと同じですね。
傲慢さも一緒かな(微笑)。
また、この時代に開発されてきたチューブ入りの油絵具を使用しており、それまでの絵には見られなかったペインティングナイフを駆使した筆致が目立ちました。
スイス国境近く、フランスのオルナンという村の出身なので、当然海を水に育ったクールベですが、初めて海を見た時は驚いたようです。
「ついに海を見た。地平線のない海を。それはとても奇妙なものであった。」
海なし県に生まれた人が、サーフィンに魅せられて湘南の海などに移住することは、多々あるようですが、クールベもそうやって海に惹かれた人だったようです。
また、当時パリとノルマンディーの海が鉄道でつながり、大ブームとなったようです。
海のないパリにいながら、すぐにノルマンディーまで行くことができたのも大きかったようです。
水を描くのは難しいもの。
波といえば北斎ですが、クールベも北斎の波は目にしていたでしょうが、彼の描いた波はもっと写真に近い、別の意味でリアルな海でした。
絵の前に立つと、クールベ自身の目で見た海の風景が広がってきて、画家が長い時間海と対峙していたことが伺えます。
さながら海のどよめきが聞こえてくるような絵でありました。
晩年、フランス革命の余韻から亡命したスイスで描いた波の絵は、その海のどよめきは聞こえてこず、ひたすら海を懐かしむようで寂しさを感じました。
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