すでに終わってしまった展覧会のことを書くのも何ですが、根津美術館でやっていた円山応挙展に行ってきました。
応挙といえば幽霊画で有名な人ですが、いや・・・恥ずかしながら、ここまで描写の人とはエカキのくせに露知らずでした。
今回の展覧会は有名な幽霊画は一点もなく、ひたすら写生の連続。
すごいなあ。
描写力にかけては、たぶん世界屈指の画家なんじゃないかな。
江戸時代中期には西洋画の技法がけっこう入ってきて、応挙の遠近法には明らかにその跡が見られます。西洋画の描写も取り入れた応挙の絵画は、大変な研鑽を重ねそれは比類のないものでした。
ただ、上手過ぎて可愛げがないよね(笑)。
また、河鍋暁斎や曽我蕭白といった、同じ江戸の画家がもつケレン味や面白さのある画家ではありません。
基本的に上手い絵しか描けない人って、世の中にけっこういるのですが、その典型と言えるでしょうか。上手い絵しか描けない人には、かわいいものを描くのが苦手な人が多く、応挙もその一人・・。
あれ、待てよ。
応挙の子犬ってかわいいので有名ではなかったっけ?
そうなんです。
たぶん応挙は大変な犬好きだったのでしょう。この展覧会でも、子犬のキャラのかわいさは際立っているのですが、ほかの動物はひたすら描写でかわいいものがない。
子犬を描くときは描写以外の何かが入るのでしょうね。
有名な幽霊画はありませんでしたが、強烈だったのは処刑場を描いた絵でした。
真面目な人ですから、いやいやながら処刑場を見て描いたのでしょうね。
磔された罪人に槍を突き立てる絵があるのですが、処刑人が横を向いて槍を刺してる図のリアリティは何とも恐ろしいもの・・・
見たあと、悪い夢を見そうでしたが、そのあとはお庭に出て口直し。
見応え十分の展覧会でした。