漂着の浜辺から

囁きのような呟き。

「なにかのご縁―ゆかりくん、白いうさぎと縁を見る」と「晩餐後の物語―アイリッシュ短編集 (1)」

2017年07月07日 | 読書録
「なにかのご縁―ゆかりくん、白いうさぎと縁を見る」 野崎まど著
メディアワークス文庫 アスキーメディアワークス刊

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 人と人との縁を切ったり結んだりすることが仕事(?)のウサギと、そのウサギとうっかり関わりあいになり、大事な自分の縁を切られたせいで、半ば脅しのような形でそのウサギに協力することになった大学生の波多野ゆかりが主人公の物語。これがあの野崎まどの作品か、と思ってしまうような、普通にちょっといい話が並んでいる。「これまで独創的な作品ばかり書いてきたけれど、こういう、誰にでも受け入れられるような、少しは売れそうな話も書けるんですよ」という感じで書かれたものなのかと思ったり。超絶的な能力を持つ人物がひとり出てくるあたりが、強いて言えば野崎まどらしいのかな。


「晩餐後の物語―アイリッシュ短編集 (1)」 ウィリアム・アイリッシュ著  宇野利泰訳
創元推理文庫 東京創元社刊

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 ウィリアム・アイリッシュは短編がいい、と言われたので、読んでみた。なるほど、確かに上手くまとまっていて、短編としての完成度は高い作品ばかりだと思った。だけど、正直、ちょっと古い感じはした。まあ、アイリッシュを読むのは、これ一冊でいいかな。