漂着の浜辺から

囁きのような呟き。

リングワールド

2014年01月12日 | 読書録
「リングワールド」 ラリイ・ニーヴン著  小隅黎訳
ハヤカワ文庫SF 早川書房刊

を読む。

 ハードSFの古典のひとつとして、学生の頃からずっと名前は良く知っていた作品だが、なんだかんだで読まないままで来てしまっていて、今回が初読。
 完全に読む時期を逸してしまった作品、という印象。全く登場人物に感情移入ができなかったし、なんだか色々と気になることが多かった。多分、高校くらいまでに読んでいたら、かなり面白く読めたんじゃないかと思うけれども、いかんせん2014年現在では、物語の展開が完全に時代遅れ。いかにもアメリカ的な、白人男性中心的なマッチョな思想が根底にあり、ただでさえ気になるところにもってきて、白痴的な女性像とか、ほとんどオカルト的な幸福の遺伝子とか、カリカライズされたかのような異星人とか、せっかくの魅力的な「リングワールド」というアイデアを台無しにする要素が満載。ハードSFというより、ほとんど二流の異世界ファンタジーになっている。まあ、おそらく作者は年齢的にバローズの「火星シリーズ」とかメリットのファンタジー小説を読んできたクチなのだろうから、それも仕方がないのかもしれないけれども、今の作家なら、このアイデアで、もっと小説的に凝った作品を作り上げるに違いない。