漂着の浜辺から

囁きのような呟き。

砂漠の惑星

2013年11月16日 | 読書録

「砂漠の惑星」 スタニスワフ・レム著  飯田規和訳
ハヤカワ文庫SF 早川書房刊

を読む。

 レムの作品は、それほどたくさん読んでいるわけではない。「ソラリスの陽のもとに」「捜査」「枯草熱」 くらいじゃないかと思う(持ってるだけで読んでないのが、数冊あるが)。けれども、いつもレムの作品を読んだ時に感じたのは、「なんとも言えない無力感」だったような気がするし、一つの文明が行き着いた終末の姿を描いたこの作品にしても、それは変わらない。
 「いったい僕たちに何ができるというのだろう。僕たちが、いったい何をわかっているというのだろう。僕たちは、主観というものから逃れて、相対的な視点に立つことなど出来るのだろうか」
 これまでに読んだレムの作品からは、そんな声を何度も聞いた気がする。もちろん、この小説からも。ラストで、「無敵号」という名前を頂く、人類の粋を集めた宇宙船が、どうだとばかりにそそり立っている姿の、その虚しさが心に残る。