漂着の浜辺から

囁きのような呟き。

1Q84

2012年07月09日 | 読書録

「1Q84」 book1 & book2 村上春樹著 新潮社刊

を読む。

 三冊のうち、最初に出ていた二冊を読んだ。読みながら、「面白いかも」と「何じゃこりゃ」の間を行ったり来たり。最終的には、これなら伊坂幸太郎の「魔王」と「モダンタイムス」のほうがよかったよな、という感想に落ち着く。比べるものでもないのかもしれないけれども。
 文章はさすがに上手くて、すらすら読めるのだが、どうしても感じる違和感は拭えない。何が言いたいのかよくわからないし、カルト集団の存在が抽象的すぎるし、セックスシーンが無意味に多すぎる気がする。人びとの無意識的総意のようなものは、簡単には表現できないのはわかるけれども、こんな書き方では余計にわからない。これじゃまるでエヴァンゲリオンだと思った。考えてみれば、「スプートニクの恋人」でぼくの頭の中にビッグクエスチョンマークが浮んで以来、村上作品で「これは」という作品に巡りあえていない。なんだかんだで、結構読んではいるのだけれど、正直なところ、ほとんど惰性に近い気もする。まだ一冊残っているけれども、やれやれ、あまり期待はできなさそう。