漂着の浜辺から

囁きのような呟き。

神鯨

2006年12月08日 | 読書録
『神鯨』 T.J.バス著 (ハヤカワ文庫SF)

を読了。
リンク先は、西村屋さんのサイト。

僕にはかなり読みにくかったけれど(何日もかけて、少しづつ読んだ。それだけ読み込んだという意味ではなく、読んでいると多少息切れしてくるのだ)、かなりの奇作。だからといって読むに足らない作品というわけでもなく、こんな変な小説も少ないので、読んでおいて損はない気もするが、それは誰でも楽しめるという意味ではない。生理的に受け付けないという人は、全く駄目だろうと思う。
普通の人が、タイトルからイメージする内容とは、相当違うことは請合っていい。では、どういう作品なのかといえば、日本では、筒井康隆のグロテスクな作品群(例えば『幻想の未来』や『ポルノ惑星のサルモネラ人間』などに代表されるような)の作風をイメージすれば、多少近い気がする。間違っても、スピリチュアルな作品を期待して読んではいけない。

この本は、西荻窪を歩いていた時に、古本屋の店頭で、50円の均一棚で見つけて、拾い上げた。ここだけの話だけれど、西荻窪は、よい古書が揃っているわりに、値段が安価な店が多い。多分、神保町より数割は安いんじゃないかと思う。もともとアンティークショップで有名な町だから、古書店の数も多いし、最近、また増えているように思う。隣の吉祥寺がどんどんつまらなくなってゆく代わりに、西荻窪は、中央線文化の牙城として、頑張っているようだ。