漂着の浜辺から

囁きのような呟き。

谷内六郎展覧会

2006年11月08日 | 青を摘む
 仕事からの帰りに、駅の近くの古書店で

 谷内六郎展覧会《夏》
 谷内六郎展覧会《夢》

 共に新潮文庫

 の二冊を見つけ、購入。どちらも200円。

 この二冊は、どちらも素敵な本なのだが、特に《夢》の方は、谷内六郎の最も核の部分を見ることができる一冊。
 収録されているのは、初期の作品群と、数少ない遺作の油彩群、それに病院での絵日記など。どれも、一度見たら忘れられなくなるような絵ばかりだ。
 この本の中に収録されている作品の中で、特に紹介したいのは、「沼の中」と題された、初期の油彩だ。
 青い色彩の中に、戦闘機の影と沼の中の巨大な魚の影、それに小さな浮きが描かれている。「週刊新潮」の絵しかしらない人にとっては、異質に感じるに違いない一枚。人物が全く描かれていないという点でも、珍しいのではないかと思う。どういうわけか、他の画集では余り見ることが出来ない絵だが、谷内さんの作品の中でも、最重要作の一つだと思う。