さうぽんの拳闘見物日記

ボクシング生観戦、テレビ観戦、ビデオ鑑賞
その他つれづれなる(そんなたいそうなもんかえ)
拳闘見聞の日々。

タイトルマッチの質は上がっているが 松永宏信、1位をTKO

2020-10-04 11:21:32 | 関東ボクシング



金曜日の尾川堅一、西谷和宏戦は明日、録画放送となりますが、昨日は松永宏信が清水優人をTKOした試合が生中継されました。

身体に厚みのあるサウスポー、松永が機動力を生かしつつ攻め、大柄な清水が迎え撃つ。
実況は清水の左フック好打を強調したが、松永の右フックの方がコンパクトな軌道を描き、内側から入っていく。
清水はむしろ右アッパーや右ストレートの好打が光った。

松永は優勢ながらも、相手も1位、当然楽ではないが徐々にダメージ与えていく。
清水はそれを顔には出さないが、右足の動きが時々、不安定に見える。
結局7回、左のクリーンヒットでカットさせた松永が攻めてTKOとなりました。

松永はいつもより、サイドからの攻めが少なかったかな?という印象ながら、全体としては動いて攻められる、機動性に優れたサウスポーの良さを出していました。
清水も苦しみつつ、健闘を見せていました。


世界の中量級、日本では重量級、と見るべき?この近辺クラスも、全体的に見て、タイトルマッチの試合内容が随分良くなったなあ、と改めて思いました。
悪いですが、そしてきついようですが、私がボクシングを見始めた頃といったら、日本のこの辺の試合は「敢えて見るようなものでもないよね」という感じでしたから。

しかし先日、元王者の前原太尊引退により、ミドル級は日本ランカーが二人になった、というニュースがあったように、このスーパーウェルターも、上位陣は良い顔ぶれが並ぶのに、その下が続いてこない、ということなのでしょうか。
日本が松永、1位清水。2位に元王者の新藤寛之。
3位川崎真琴、4位越川孝紀で、5位以下は空欄になっています。
しかし2位の新藤が引退したと、実況が言ってまして、ランカーは3人になってしまいますね。
OPBF王者渡部あきのり、AP王者井上岳志がいますし、ミドル級も野中悠樹がいますが、仮に彼らを加えても、4人とか5人になります。

かつて軽量級中心だった日本のボクシングも、徐々にスーパーフェザーあたりに好選手が集中?するようになっていたり、体格面での向上が反映されつつあるのかもしれませんが、やはり幅広い人材の確保が必要ですし、その中にはさらに重いクラスの好素材も含まれるべきでしょう。
この辺のクラスでも、本当に、けっこう良い試合内容がいろいろ見られるようになっているのだから、それが継続されてほしいものですね。



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昨日のセミセミ、ライトフライ級6回戦、野田賢史vs川満俊輝戦では、ちょっと首を傾げるレフェリングがありました。

3回、強打の野田、やや優勢というところで野田の左フックが決まり、川満大きくふらついて、野田追撃。
しかし逆に川満の右アッパーから連打で野田がピンチ。
野田はクリンチに出るが、体勢を維持出来ず、上体を折って下を向き、前にのめる。もう単なるしがみつきの域。
川満、振り払いながらヒット、その後に野田がしがみつこうとしてかなわず、ダウン。

※このあたりの経過、名前を逆に書いてしまっていました。訂正します。失礼しました。

しかしレフェリー、これをスリップと裁定してしまいました。
流れとしては、川満のヒットで効かされた野田が、しがみつこうとしたがかなわず倒れたのだから、ダウン裁定するべきものでした。

野田は見るからにダメージ甚大で、その影響ありありなんですが、ダウンの「直前」にヒットがないからスリップ、という基準を振りかざして、最初にこんな、妙な裁定をしてしまったせいで、その後、2度、3度、4度と野田がスリップダウンを繰り返しても、ストップどころかダウンの裁定ひとつすら出来ない。
確かに中には川満が引き落としたように見えたものもありましたが、野田が効いていて体勢を維持出来ず、自ら膝をついたと見えるものもあり。

「闘える状態にない」選手がなおも闘い続ける様を見て、場内からは野次も飛びましたが(ホンマはあかんねんで)その挙げ句、野田が5度目、同じく「直前に」打たれてはいないが倒れると、遂に「ダウン」と宣告。
レフェリー、先ほどの裁定を下した基準を、自ら放り投げてしまいました。

次の4回、ダメージ抱えたままの野田を川満が攻めたところ、レフェリーが止めてTKOで終わりましたが、最後は早めのストップだったものの、その過程は「選手の健康管理を優先して」というお題目とはかけ離れたものでした。


なんというか、「まだこんなことやっとるのか」と憤る段階も、とうの昔に通り越してますが...。
大手贔屓もほどほどにせんと、選手の身体が壊れてしまうで、とだけ書いておきます。




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ということで、一曲。
Bruce Springsteen “Ghosts” です。







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元気一杯、有り余るエネルギー カシメロ、豪快KO勝ち

2020-10-02 05:17:14 | 海外ボクシング




日曜日のWOWOWオンデマンド、最初の試合はジュンリエル・カシメロvsデューク・マイカー戦でした。

マイカーも悪い選手じゃないように見えて、きちんとジャブ、ストレートで迎え撃って、ヒットも取りましたが、カシメロは打ち合いの中、上には外から振っておいて、小さい振りでインサイドに入るボディブローを強打し、マイカーを止めてしまう。
ダメージ受けたマイカーに、上への強打狙い打ちでダウンを奪い、トリッキーな動きも見せて追撃。
踏ん張って反撃したいマイカーの集中を乱しつつ攻める狙いなのか、それとも単に...なのか。
いずれにせよ、この流れはもう止まらず、3回にストップ勝ちでした。


試合後は片手で腕立てまでやってましたが、長期の米国滞在で貯め込んだエネルギーが爆発してなお、有り余っている感じでしょうか。
元気一杯、野性味に溢れる闘いぶりは「あしたのジョー」の終盤に出てくる「ハリマオ」の実写版、という感じ(笑)。
さすがにあそこまで無茶苦茶ではないですが。

もし井上尚弥と闘わば、どういう出方をするものか、と思いつつ見ていましたが、改めてこれはもう「行く道ひとつ」やろうなあ、と思ったりもしました。
当然警戒しつつ対峙する、ということになるのでしょうが、攻め口は基本、同じでしょう。
「ようそんな無茶な」と思わず呟いてしまうような試合が見られるのかもしれません。

井上側から見ると、威圧しても関係なく「来る」のでしょうから、その間合いにお付き合いする必要はない、というのが普通です。
しかし、井上尚弥の方もまた、そういう普通が通じない選手です。
思う以上に派手な、賑やかな展開もあり得るのかもしれませんね。


今回、カシメロが違う会社の試合に出たことで、今後どうなるのか、問題が生じるのかどうかもよくわかっていませんが、いつか本当に実現してほしいカードです。
井上のアメリカ市場における存在価値を、一気に上げられるような内容が期待出来るだけに、幻のカードで終わって欲しくないですが...はてさて。



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ということで、一曲。
BBHF「クレヨンミサイル」。







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真の「兄弟世界チャンピオン」 チャーロ兄弟、共に強敵を破る

2020-10-01 09:40:40 | 海外ボクシング





ということで日曜のWOWOWオンデマンド、チャーロ兄弟、揃って強敵を迎え、タイトルマッチを闘いました。
これをライブ配信で見られたのは、本当にWOWOWありがたや、です。
今後も、年末にかけて、コロナ蹴手繰り、一気の巻き返しという勢いで、あれこれとやってくれるようです。
反面、DAZNはカネロさんの件など色々あって、停滞気味ではありますが。


ジャモール「お兄さん」チャーロは、WBCミドル級タイトルマッチで、実力派のセルゲイ・デレビヤンチェンコに判定勝ち。
クリアに打ち勝っていたように見えましたが、終盤、二度目のクリーンヒットがあった次の回から失速あり。
拳傷めた?という風にも見えましたが、どうだったのでしょうか。

強打者ではあるが、後ろに重心残して、ジャブを突き刺しながら、引っ張るような左フックの強打で「チェック」し、右クロスも強烈。
デレビヤンチェンコも良さを出しましたが、またも届かずでした。


ミドル級界隈のあれこれは、もう色々あって、逐一誰がどう何がどうと言うのも面倒くさいですが、何しろ「世界ミドル級チャンピオン」の座は、ゴロフキンやカネロから、完全にこのお兄さんに移った、という理解で良いでしょうね。
次に見たいのは「元王者」ゴロフキンとの新旧対決です。カネロのことは言うだけ時間の無駄でしょう。
こちらもDAZNとの契約がネックになりそうなゴロフキンですが(株式がどうの、という話は、本当にややこしそう)本来あるべき「戴冠」或いは「奪還」の試合として、是非実現してもらいたいものです。



WBCスーパーウェルター級王者ジャーメル「弟さん」チャーロは、WBA、IBFのダブルタイトルを持つジェイソン・ロサリオとの三冠統一戦。
これも乱暴に言いますが、世界王者ジャーメルに、世界1位ロサリオが挑戦、という感じで見ていました。

細身で長身のロサリオが、ぐいぐい出てプレス。初回に左フック(かすめたようなのが効いていた?)でダウンしたロサリオですが、その後もジャーメルを押して攻め続け、あのジャーメルが何度か「自分から」のクリンチに出る場面あり。
ポイント的にも、ロサリオが追いついたか追い越したか、という6回に、ジャーメルの左フック、振りの小さい右が決まってロサリオがダウン。

そして8回早々、ジャーメルが放ったボディへの左ジャブでロサリオ悶絶、TKO。
ちょっと見たことないようなKOシーンでした。
ダメージの影響で、身体に力が入っていないところに、速いジャブが来て、腹筋を締められずに打たれた、ということなのでしょうか。


チャーロ兄弟、いずれも今、考え得る中で最も手強い相手と闘い、それぞれ苦しみつつも勝った、という試合でした。
共にそれぞれの階級で最強だと見ますが、それでも、アルファベット飛ばして世界ランク作ったら1位とか2位とかに来そうな強敵相手だけに、圧倒的に、一方的に、というわけにはいかず。
しかしそれも込みで、本当の「世界」を見ているんだなあ、という有り難みが伝わってくる、そんな試合でした。



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この興行、アンダーではスーパーバンタムの試合が妙に充実してまして、3試合が組まれていました。
日本にいる複数の上位選手の誰かを、ここに入れてもらえんものか、と思ったりもしましたが、それはおいといて。


ルイス・ネリーはWBCタイトル決定性で、同じサウスポーのアーロン・アラメダと対戦。
この段階で、曲がりなりにもWBCタイトルマッチに出られる、異様な優遇については改めて書きませんが、試合内容自体も、爆発的なものはあまり見られませんでした。

きつく言えば、バンタムの体重が作れない(或いは、作らない)ので、上げて然るべきスーパーバンタムで普通に計量し、薬も使ってない(と想定して)という条件の下では、ちょっと巧いというか、気の利いた狙いがある相手と闘うと「こんなもの」なのか、という印象でした。

次がダニエル・ローマンかブランドン・フィゲロアか、どちらと対戦するのか知りませんが、いずれも強打者ではないので、どうにかこうにか乗り切れる...のかも知れません。
ただ、手数で負けて受け身になったら、髭で隠した、尖った顎に集中打を浴びて、という展開もあり得そうですが。


そのローマン、フィゲロアはいずれも、これまで通りの闘いぶりでそれぞれ勝利。
軽量級だから少々は構わん、ということなのか、どちらもある程度打たせる感じもあって、こういうのはあちらでどう評されているのかな、ちょっと腑に落ちん、という部分もあります。
その点では、ローマンの方は少しマシですが、フィゲロアに関しては、本当にちょっとこう...まあ、あれで通っている今のうちは良いんでしょうが。



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ということで、一曲。
U2 “Levitate” です。







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