金曜日の尾川堅一、西谷和宏戦は明日、録画放送となりますが、昨日は松永宏信が清水優人をTKOした試合が生中継されました。
身体に厚みのあるサウスポー、松永が機動力を生かしつつ攻め、大柄な清水が迎え撃つ。
実況は清水の左フック好打を強調したが、松永の右フックの方がコンパクトな軌道を描き、内側から入っていく。
清水はむしろ右アッパーや右ストレートの好打が光った。
松永は優勢ながらも、相手も1位、当然楽ではないが徐々にダメージ与えていく。
清水はそれを顔には出さないが、右足の動きが時々、不安定に見える。
結局7回、左のクリーンヒットでカットさせた松永が攻めてTKOとなりました。
松永はいつもより、サイドからの攻めが少なかったかな?という印象ながら、全体としては動いて攻められる、機動性に優れたサウスポーの良さを出していました。
清水も苦しみつつ、健闘を見せていました。
世界の中量級、日本では重量級、と見るべき?この近辺クラスも、全体的に見て、タイトルマッチの試合内容が随分良くなったなあ、と改めて思いました。
悪いですが、そしてきついようですが、私がボクシングを見始めた頃といったら、日本のこの辺の試合は「敢えて見るようなものでもないよね」という感じでしたから。
しかし先日、元王者の前原太尊引退により、ミドル級は日本ランカーが二人になった、というニュースがあったように、このスーパーウェルターも、上位陣は良い顔ぶれが並ぶのに、その下が続いてこない、ということなのでしょうか。
日本が松永、1位清水。2位に元王者の新藤寛之。
3位川崎真琴、4位越川孝紀で、5位以下は空欄になっています。
しかし2位の新藤が引退したと、実況が言ってまして、ランカーは3人になってしまいますね。
OPBF王者渡部あきのり、AP王者井上岳志がいますし、ミドル級も野中悠樹がいますが、仮に彼らを加えても、4人とか5人になります。
かつて軽量級中心だった日本のボクシングも、徐々にスーパーフェザーあたりに好選手が集中?するようになっていたり、体格面での向上が反映されつつあるのかもしれませんが、やはり幅広い人材の確保が必要ですし、その中にはさらに重いクラスの好素材も含まれるべきでしょう。
この辺のクラスでも、本当に、けっこう良い試合内容がいろいろ見られるようになっているのだから、それが継続されてほしいものですね。
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昨日のセミセミ、ライトフライ級6回戦、野田賢史vs川満俊輝戦では、ちょっと首を傾げるレフェリングがありました。
3回、強打の野田、やや優勢というところで野田の左フックが決まり、川満大きくふらついて、野田追撃。
しかし逆に川満の右アッパーから連打で野田がピンチ。
野田はクリンチに出るが、体勢を維持出来ず、上体を折って下を向き、前にのめる。もう単なるしがみつきの域。
川満、振り払いながらヒット、その後に野田がしがみつこうとしてかなわず、ダウン。
※このあたりの経過、名前を逆に書いてしまっていました。訂正します。失礼しました。
しかしレフェリー、これをスリップと裁定してしまいました。
流れとしては、川満のヒットで効かされた野田が、しがみつこうとしたがかなわず倒れたのだから、ダウン裁定するべきものでした。
野田は見るからにダメージ甚大で、その影響ありありなんですが、ダウンの「直前」にヒットがないからスリップ、という基準を振りかざして、最初にこんな、妙な裁定をしてしまったせいで、その後、2度、3度、4度と野田がスリップダウンを繰り返しても、ストップどころかダウンの裁定ひとつすら出来ない。
確かに中には川満が引き落としたように見えたものもありましたが、野田が効いていて体勢を維持出来ず、自ら膝をついたと見えるものもあり。
「闘える状態にない」選手がなおも闘い続ける様を見て、場内からは野次も飛びましたが(ホンマはあかんねんで)その挙げ句、野田が5度目、同じく「直前に」打たれてはいないが倒れると、遂に「ダウン」と宣告。
レフェリー、先ほどの裁定を下した基準を、自ら放り投げてしまいました。
次の4回、ダメージ抱えたままの野田を川満が攻めたところ、レフェリーが止めてTKOで終わりましたが、最後は早めのストップだったものの、その過程は「選手の健康管理を優先して」というお題目とはかけ離れたものでした。
なんというか、「まだこんなことやっとるのか」と憤る段階も、とうの昔に通り越してますが...。
大手贔屓もほどほどにせんと、選手の身体が壊れてしまうで、とだけ書いておきます。
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ということで、一曲。
Bruce Springsteen “Ghosts” です。