さうぽんの拳闘見物日記

ボクシング生観戦、テレビ観戦、ビデオ鑑賞
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拳闘見聞の日々。

技巧派ボディパンチャーとしての成熟と限界 ロマゴン、判定で初防衛

2020-10-25 12:24:28 | 海外ボクシング




昨日のスーパーフライ級二本立て、セミはWBAタイトルマッチ。
ローマン・ゴンサレスがこのクラスでは初の防衛戦で、昨年末、大阪で石田匠を破ったイスラエル・ゴンサレスに判定勝ちでした。

序盤から上体を振って頭の位置を変え、速いコンビネーションを繰り出すイスラエルに対し、ロマゴンは分厚いプレッシャーをかけ、7~8分のパンチでリードして、ボディ打ちで止めて捉えようとする。
普通ならファイター、パンチャーの力攻め、というところですが、リードが左アッパー、右ダイレクト、ボディストレートだったりする、独特というか即興的なスタイルは、ロマゴンならではのもの。

しかし序盤から終盤、イスラエルの速いコンビを浴びる場面もあり、それをボディ攻撃の効果で抑えていきましたが、試合全般を通じ、採点は知らず、楽な展開ではまったくなし。
表情も苦しげな感じのまま、懸命に攻め続けて押し切った、という試合でした。


打ち出したら止まらない攻撃、コンスタントに手数が出せて、ボディ攻撃も防ぎようのない状況を作って決める、しかしそれでも倒せない。
やはり、下の階級では、攻めの布石の段階でも、好打すれば相手が一発で止まり、倒れ...時にはそれこそ吹き飛んでいたものが、4階級目のスーパーフライではそうはいかない、その限界を抱えての闘いだったように見えました。


大阪でも意欲的な試合ぶりを見せていたイスラエル・ゴンサレスの健闘もありましたが、それを含めても、エストラーダとの統一戦というのは、相当引き締めていくにしても、やはり厳しいかもしれません。
ただ、エストラーダにしても、或いは井岡一翔や田中恒成にしても、同じく下から上げて来た選手ではあるのですが。

独特の組み立て、リズムを隠し味に、重厚なプレスとボディ攻撃で組み立てる、技巧派ボディパンチャーとしてのローマン・ゴンサレスは、成熟の時を迎えた反面、そのような限界も抱えつつ、キャリアの締め括りに向けて闘っていくことになります。
その目指すものが、真のクラス最強の座である以上、どのような結果であれ、目を離すことは出来そうにありません。



セミセミのWBCフライ級タイトルマッチは、フリオ・セサール・マルチネスが、体重超過のモイセス・カジェロスを2回TKO。
初回から左フック、右クロスのワンツーで倒し、2回もアッパー気味の右カウンターから追撃でストップ。完勝でした。

スローな動作から繰り出すワンツーの速さ、ロングからショートへの、パンチの距離の切り換えの鋭さなど、いつもの長所が、相手の不甲斐なさもあってか、立ち上がりから全て出た、という内容。
あれこれ問題のある選手ではありますが、リングの上だけ見れば、今、フライ級最強はこの男だと思わざるを得ません。見事な強さでした。

田中恒成には、ライトフライでアンヘル・アコスタを下したのと同じく、フライ級でこのマルチネスと闘って欲しかったところですが、ひょっとするとこの先、スーパーフライで交わるときがあるかもしれません。
もし体格面で問題なければ(けっこう、小さく見えますが)エストラーダ、ロマゴンのご両所にとっても、このマルチネスは脅威の存在となるでしょうね。



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ということで、一曲。
U2 “The Ground Beneath Her Feet” です。








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