さうぽんの拳闘見物日記

ボクシング生観戦、テレビ観戦、ビデオ鑑賞
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拳闘見聞の日々。

挑発にも動じず、冷静に制圧 中谷正義、TKOでV11

2018-12-10 08:44:01 | 関西ボクシング



そういうことで昨日は府立に行って、観戦することができました。
さすがに年末、あれやこれやとあるもので、どうなるかと思っていましたが、なんとか。

しかし、午後1時から試合を見始め、一部二部の間に一時間ほど空いたのを含め、
夜の9時前まで試合を見続けて、帰宅後はWOWOWで録画した二試合を見たのち、
何という一日だったのだろう、これはさすがにイカレとるな、とふと我が行いを振り返った私には、
僅かながら真人間に戻れる余地がまだ残っている...と思いたいところ、です。

ま、どうでもええ話はおいて、試合の感想から、簡単に。


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まずは二部のメイン、OPBFライト級タイトルマッチ、
中谷正義vsハリケーン風太は、中谷の4回TKO勝ちでした。

新人王戦のころ以来、久々に府立の地下に帰ってきた「中岸」風太は、
試合前のコールの際、中谷の眼前に立ち、腕をクロスさせる、ホプキンス風のポーズ。
以前、ホプキンス風の入場をしていたこともある中谷は、これを微笑んで見下ろしていました。


初回、風太は右構えで、身体ごと飛び込む。さっそくもつれる。
クリンチというより、その先の何事かをあれこれ意図した、ラフな仕掛け。
中谷はしかし、すぐ距離を取り、ジャブ、ボディブローを再三当てる。
風太は飛び込みざまの左ボディフックと頭による同時攻撃。バッティングが起こるが、出血はせず。中谷。

2回、中谷がロングの距離でジャブ、ワンツー、左フック返し、右アッパーで起こす。
昭和の表現でいうところの「モチつき攻撃」(古い)。
風太は左ボディが単発で出るが、それ以外は組み付いてばかり。
中谷がまた長いワンツーで突き放し、左右ボディも。風太パンチにより左瞼切る。中谷。

3回、中谷再び、長いワンツー、右アッパーを前に伸ばし、風太を寄せ付けない。
風太、大振りしてはクリンチ、ホールド。中谷は当然、嫌だろうが努めて冷静に対処。
ロングの距離から右ボディアッパー、右ストレート上に返し、連打で圧倒。中谷。
ここで風太、右瞼もパンチによりカット。

4回、早々にドクターチェック。再開するが、ほどなくして出血が目に見え、二度目。
風太は自コーナー周辺の応援団を煽り、続行をアピールするがかなわず、負傷TKOとなりました。



試合全体としては、中谷正義の冷静な対処が光った、という一戦でした。
風太のラフな戦法に遭い、体当たりされ、頭突きもされ、絡みつかれて転がされ、と
まあ一通り、あれこれとやられていましたが、大柄な体格を生かして対処しました。
また、ロングの距離でワンツーストレートを突き刺し、右アッパーで起こし、また右ストレート、と
大げさに言えば往年のアルゲリョが、マンシーニやプライアーを捉えて打ちまくったような
一連の攻撃は、日本のライト級最強ボクサーに相応しい迫力、風格を感じもしました。

ある意味では国内において、最大級の「難敵」を、危なげなく一蹴した試合を見終えて、
もう同じ事の繰り返しにも程がありますが、何とか「次」「上」の試合を見たいものだ、と
思うことはそれしかありません。幸いにして、心身に衰えの影などはまるで見えませんし、
抜群の体格にかまけず、能動的に試合を作ろうとする姿勢も、まったく崩れていませんでした。
ならばこそ、これらの美点が喪われぬうちに...と。



ハリケーン風太は試合前から、中谷の冷静さを乱さないと勝機は無い、という確信のもと、
挑発、突進、頭突き、クリンチやホールドを駆使して、その先に強打を決める機会を
伺っていた、と見えました。中谷の心身、いずれかが多少なりとも揺らいだところに、
身体全体が一回転してしまうような打ち方の左フックを、一発でも決めれば、
そこから堤防を決壊させられる、という意図だったのだろう、と思います。

しかし、それにしても「やり口」としては酷いものだった、とも思います。
クリンチ、ホールドまではまだ良いとして、そのさらに先に、中谷の腕を意図して捻ろうとした行為が、
少なくとも二度、視認出来ましたし、それ以前に、まともなボクシングの攻防を、
それこそ試合前から完全に諦めていたかのような闘いぶりは、残念の一語でした。

それでも試合が長引けば、中谷を攻略は出来ずとも、疲労から来る「漏れ落ち」を突いて、
多少の反撃、挽回はあり得ただろうと思います。
しかしその可能性も、喫したヒットによる負傷で断たれました。
正直言って、この内容の試合を、長々と見たいとは、まったく思っていませんでしたので、
終わったときは安堵しました。改めて、ただただ、残念に思います。


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セミは関西の元タイトルホルダー同士の一戦。
バンタムで日本王者だった大森将平と、OPBF王者だった山本隆寛のサバイバルマッチでした。

共に122ポンドに転じての対戦、体格は大森がかなり大きい。
大森は減量苦から解放された好影響か、体つきががっしりして見え、痩身の印象は薄まっている。
打ち出したら止まらない大森に対し、山本がどれだけ動いて外せるか、打ちにくい的でありえるか、
という観点で見ていましたが、大森が初回から出る。左クロス、右アッパー返す攻撃。

初回終盤、山本が明らかに頭から突っ込む。あらまあ、と。
2回、大森さらに出て、長い左ストレートが上下に伸びる。山本、意地になってやりあっては勝てない。
それは重々承知しているかと思っていたが、そうでもなかったか。

3回、大森がさらに攻める。良いの当てたら次、また次、という大森の流れになっていく。
大森が左当て、右返し、右アッパー。山本打たれ後退、大森さらに追う、というところでレフェリーストップ。
正直、元王者、メインイベンタークラスの選手の試合で、即座に止めるほどの場面には見えませんでした。
ただ、試合の趨勢は、かなりはっきり決まり始めていた、とも思います。

大森はかつての輝かしい逸材ぶりが完全に甦った、といえるかどうかは保留しますが、
着実に復調はしてきていると見えました。出来ればコンスタントに試合の機会が欲しいものですね。


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セミセミも世界挑戦経験者同士のカード。石田匠vsワレリト・パレナス。

初回はパレナスが右クロスを積極的に飛ばす。石田のジャブも決まるが、右で抑えた格好。
しかし2回、石田の踏み込んだジャブがカウンター気味に入り、パレナスダウン。
石田が左をボディに、そして右を上に返すと、二度目のダウン。
いずれも、いともあっさり、という風に見える。

当然、これは終わりかな、と思ったくらいですが、パレナスがここから粘り、
石田の方は、厳しく詰める、という姿勢を打ち出せない感じ。この辺は微妙な表現ですが...。

石田はジャブ、右ボディストレート、コンパクトなワンツーなどで、ポイントは抑えていく。
しかし大きく足は使わず、慎重な感じ。4回、パンチでカットした影響もあったか。良くも悪くも省エネ傾向。
パレナスはこらえて、右ロング、左返し、という感じで対抗。ときに単発ヒット、攻勢もあったが。

最終8回、自重気味に見えた石田が、ラストの方で打ち合いに出て、試合終了。
二度のダウンもあり、判定はクリアに石田。しかし内容的には、若干物足りず、というところ。

この選手、そろそろ一階級くらい上げた方がいいのかも、と、見終えてあれこれ、思ったりもした次第、です。


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そんなことでとりあえず二部の方の感想でした。
一部、その他についてはまた後日ということで。




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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
お疲れさまです。 (元おっさんボクサー)
2018-12-10 21:30:32

見に行きたかった興行

毎度の緻密なリアル解説
ほんとうに ありがとうございます。

風太の番狂わせ
期待してましたが…

コメントありがとうございます。 (さうぽん)
2018-12-11 00:56:27
>元おっさんボクサーさん

過分なお言葉、恐縮です。風太は残念でした。わかっていたことではありますが、ああいう試合ぶりは、やはりいただけないなぁ、としか言えませんでした。

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