さうぽんの拳闘見物日記

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拳闘見聞の日々。

力ある者の「理」が見えた 重岡優大、パンヤ下して正規王者に

2023-10-09 00:00:08 | 関東ボクシング



ということで土曜日大田区、実質メインのWBCミニマム級タイトルマッチは、暫定王者のサウスポー重岡優大が、正規王者パンヤ・プラダブスリ(今まで再三誤記してました。これが正しいそうです)を終始攻め立てて、3-0判定勝ちでした。



序盤から優大が右ジャブ、肩入れて打ち込み、左アッパー、クロスも飛ばす。
対するパンヤは、立ち上がり、半歩だけ引いて、見て行こうという感じだったのですが、すぐ構え直して右ストレート、ダイレクトで対抗。
試合前から強敵と見ていたでしょうが、実際に拳を交えて、それが確信に変わったのでしょう。しっかり打ち返して来る。

早々に激しい陣地争いぽくなってきた2回、パンヤ出るが、優大が下がりながら強烈な左ボディブローを二発。
さらに遠心力を使った左ボディで攻める優大に、パンヤは右カウンターを上に。左フックのお迎えも。

しかし優大が今度は左フックを上へ送る。
激しい攻防戦に突入も、単発ヒットを許すのは覚悟の上か、或いは勝負度胸ゆえか。優大の積極性が試合を支配していく。

3回になると優大、身体をひねっての右アッパーをインサイドから突き上げる。
パンヤは攻防のペースを落として、自分の巧さを生かしたいが、重岡がハイペースを譲らない。


大柄な優大、減量苦もあろうと思われ、実際パンヤも4回あたりから、ボディ攻撃に重点を置きたがっている風。
しかし優大、積極的に打っていき、なおかつ懐深く使い、足も動かして、ボディに的を絞らせない。
時折打たれてはいるが、ボディ打ちこまれて失速、ということにはならなさそう。安心し、感心もした部分でした。

それでも、色々手を打ってくるあたりはさすがというか、パンヤ、5回は構え直して左ジャブから攻め込もうとする。
しかし優大、早速右フックのカウンターでお迎え。見事に決めて、逆にパンヤの足元が乱れるシーンも。



積極的に攻めつつ、時にカウンターも取れる。これだけでも、ファイタータイプの理想形。
だが、相手の巧さもあって、時に打たれながらも、言えば「現実的に」闘い、常に適切な対応の手を打ち続ける。
重岡優大もまた、銀次朗とは別の意味で「確か」なボクサーであることが、よく見える試合展開でした。






中盤も、パンヤの単発ヒットはあるが、優大が上下の連打、ショートで細かく早い連打、右アッパー突き上げなど、多彩な攻撃でまさる。
8回にはパンヤの右ショート、アッパー好打も、その前後に優大が怯まず左ボディアッパーを打ち込んで、パンヤが後退。

終盤になると、パンヤの攻撃はもはや「抵抗」の絵に変わる。
良いタイミングでダイレクト、カウンター、相打ち気味の好打があるが、優大が一切怯まず攻めてくるので、全て無効化されてしまう。
11回、ロープ際で打ち込まれ、最終回も優大の左ボディアッパーで後退。挽回も絶望的な状況で、スリップした優大を上から「ポカポカ」と打ってしまい、注意される。
右頬を腫らし、痛々しいパンヤ。優大の右フック返しを食って、それでも耐えて判定に持ち込んだのは、安定王者の、せめてもの意地か。



ということで兄弟揃って「暫定」の文字を外し、WBC正規王者となった重岡優大。本人も反省していたとおり、けっこう打たれてもいました。
が、それも踏まえた上で、相手の巧さを体格とパワー、そして攻め口の多彩さで抑え込もうという闘いぶりは、力ある者の理、とでも言えるもので、見ていて得心のいくものでした。
コンディション調整も、苦しかったんではないかと想像しますが、最後までペースが落ちないどころか逆にペースアップしていて、真面目にやっている練習に身体がしっかり応えている、という絵で...若さ故でもありましょうが、頼もしい限りでした。


敗れたパンヤ、タイから出ない未知数の部分も含め、不気味な存在でもありましたが、実際見てみると、なるほど一定以上の「質」は持っているなあ、と思う反面、世界王者として特別なものがあるかというと、そうではなかったという印象でした。
カオサイやウィラポン、ポンサクレックといったかつての名王者には及ばぬ、とは分かっていましたが...もし優大と闘うならば、タイでやりたかったところ、だったでしょうね。



※写真提供は引き続き「ミラーレス機とタブレットと」管理人さんです。
いつもありがとうございます。




コメント (2)
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