さうぽんの拳闘見物日記

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拳闘見聞の日々。

大差の勝利を支えたものは何か? カネロ、ジャーメルに大差勝利

2023-10-02 00:07:16 | 海外ボクシング




昨日のWOWOW生中継、簡単に感想です。


メインのカネロ・アルバレスvsジャーメル・チャーロは、昨日書いた前日計量の様子を見て思ったことが、全て的外れだったなあ、という内容でした。


試合始まって、両者が向かい合ったら、ジャーメルの身体が168ポンドの世界タイトルを争奪するボクサーとしては、密度の薄い、急ごしらえのものでしかないことが、一見してわかりました。
対するカネロの方は、中身がぎっしり詰まった筋肉の鎧、という印象。

当然、コンタクトする前の、探り合いの段階から、カネロが放つ圧力がジャーメルを圧し、実況解説も言うとおり「腰高」「身体が浮く」状態を作り出していく。
もっと言えばジャーメルは最初から逃げ腰。そうしないと早々から打たれてしまうし、それに耐えられない、という判断を、最初から強いられていました。

試合はこうして、初回に構築された構図が、ほとんど変わらないまま推移し、7回にはダウンをスコアしたカネロが大差の勝利。
ジャーメル・チャーロは、結局は二階級下から、無理に引き上げられた「お相手」だった、という以上の印象を、ほとんど残せないまま敗退しました。



細かい展開がどうのという意味では、ほとんど見どころがなく、何も変わること無く進む試合を見ていて、おそらく終われば大差がついているだろう、それは何故にそうなるのだろうか、ということばかり、考えてしまっていました。
それは10年ばかりの歳月をかけて、スーパーウェルター級から増量してきたカネロと、突然二階級アップしての4団体統一戦に臨んだジャーメルの、肉体の密度の差、ということになるのでしょう。

そして、それ故に、という言い訳は成り立つでしょうが、ジャーメルの不甲斐なさもまた、一因だったと思います。
元々技巧派寄りながら、徐々に強打の王者へと変貌していったはずのジャーメルですが、試合始まったら早速、迷いもなくバックステップを最優先にしたスタイルへの変更を強いられ、反転攻勢に出るのも散発的。
挙げ句にワンサイドで失点している内容で、勝負を賭けて反撃、という姿勢を見せることすら出来ない。

この挑戦がいかに困難か、強者として立ち回れた過去のどの試合とも違う覚悟が求められるものか、それは充分理解した上で、この闘いに臨んだはず...というのは、傍目の勘違いだったようです。
本当に、あっさりと受け身に立ち、それを覆そうともしなかった。要は、困難と引き換えに厚遇を得られる、というだけの話だった、のでしょう。
それは昨今のトップボクサーによく見られる、闘志の欠如であり、覚悟の無さでもあり、いかにも当世風の振る舞いに過ぎない、といえばそれまでですが。



そして、そのワンサイドマッチによる勝利の土台を、疑わしい手法によって築き上げたともっぱらのカネロを、あれこれ言葉を重ねて褒め称えないといけない実況解説の言葉には、まあ仕方ないこととはいえ、始終辟易し通しでした。
確かに、試合する許可が出ている、形式上は何の問題もない試合です。それに異を唱えていて、試合中継番組が成立するわけもありません。
ボクシングの試合中継は「報道」なのだ、という理想論を振りかざすほどの元気が、自分の心中にほぼ残っていないのも事実です。


とはいえ、試合後のインタビューでの、カネロの自画自賛はまだ、戯言を...と聞き流せても、それにひっ被せたインタビュアーの「ボクシングファンは皆、あなたを大好きです」という、とてもじゃないがまともな神経では聞いていられない言葉が耳に飛び込んでくるに至り、さすがに耐えかね、試合後インタビューの途中で、TVのチャンネルをG+、MotoGPに切り換えました。
こっちはこっちで、えらい間で微妙な感じの雨が降り始めたりで、色々大変でしたが、しかしラップタイムは嘘つかん、という基本は揺るがないので、やっぱりスッキリしています...また関係ない話ですね。すみません。


話は戻ってボクシングですが、やっぱりこの手の選手が世界屈指のスターボクサーであるというのは、改めて問題やなあと思います。
本当に刹那的な、未来の無い見世物のレベルに、ボクシングは落ちてしまっているなあ、と。
本当ならスターボクサーの、文句のない完勝を見たはずなんですが、良い気分だとはとても言えません。困ったものです。



コメント (4)
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