さうぽんの拳闘見物日記

ボクシング生観戦、テレビ観戦、ビデオ鑑賞
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拳闘見聞の日々。

かつての自分自身を追う、旅の終わり 大場浩平、2-1判定勝ち(動画追加)

2021-07-19 00:17:39 | 大場浩平



ということで、昨日はWOWOWオンデマンドで世界最高峰の試合をひとつ見たあと、YouTubeで刈谷からの配信を見ていました。
メインの逆転KO(こういうの、続くもんですね)、セミの速攻劇等々、一昨日の八王子にも似た、激しい試合が沢山見られました。
しかしその中で、やはり一番気にかかったのは、静かな部類の展開だった、5試合目でした。


大場浩平、ラストファイトは2-1判定勝ち。
内容的には微妙な感じもありました。
若い中村龍明が少しでも大振りになれば、目と距離で外す防御が生きましたが、少しでも小さい振りで狙われると、外しきれない場面も散見。
初回、中村のワンツーが入ったときは、また防御センサーが機能せず打ち込まれるか、と心配になりました。

しかし、芯は外せていたようで、その後は少しずつ動きで外す感じが出てくる。
とはいえ、時に押されたりもつれたりした際にバランス崩したり、足取りも往時の軽快さとは程遠かったり。
かつて名人芸の域だった右アッパーやボディ攻撃も、目覚ましい効果は生まず。

中村に「攻めあぐみ」の展開を強いた、とも言えるが、試合は山場らしいものなく終了。
判定は2-1で大場でしたが、正直、どちらとも言い難い、という感じでした。


ただ、大場浩平が、リングの上でしか追い求めることの出来ない何ごとか...かつての自分自身の影か、片鱗か、どういう表現になるのかわかりませんが、そうしたものを再び「実感」したくて闘っているのだろうなあ、という心情的なところは、けっこう伝わってくるものがありました。

身体を左右に翻し、上体を反らし、そこから肩を捻って打つ右ストレート、ダイレクトで的を捉える右アッパー、相手の打つ手の前に、或いは後に狙うカウンターなどは、本人の意に反し、往時のような鮮やかな勝利を彼に与えはしませんでしたが、最終回に浅く?決まった右カウンターは、彼のせめてもの願いに、僅かながらかなうものだった、のかもしれません。



「自分はずっとボクシングやってきて、これしか好きになれなくて」
「他の何も、好きになれなくて」
「今日、リングに上がることを、ずっと夢に見てきました」
「今日、それを終わらせます」
「新しい人生を、家族と、もう一回、やり直します」
「(観客に向け)今日、本当に、ありがとうございました」



試合後、引退セレモニー(通算二回目)で涙を堪えて語る言葉は、どれも胸に迫るものでした。

長きに渡ってその才能に魅了され、その姿を追い続けてきた大場浩平との、お別れのときが(改めて)来たのだなぁ、としみじみ思っています。
そして、これをライブ配信で見られて良かった、と。
大場浩平と共に「ボクシング選手名鑑」管理人さんにも、感謝します。ありがとうございました。



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こちらに、昨日の全試合、別角度から、画質の良い動画がアップされています。
これは有り難いですね。重ねて感謝です。



コメント
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