さうぽんの拳闘見物日記

ボクシング生観戦、テレビ観戦、ビデオ鑑賞
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拳闘見聞の日々。

最強王者に、さらなる脚光を ユーリ阿久井、痛烈KOで防衛

2021-07-22 16:43:24 | 関東ボクシング



ということで昨日はdTVにて、ライブ配信を楽しく見ておりました。
とりあえずメイン、簡単に、とはいかないですが、感想。


ボクシングビート誌で特集されてましたが、ユーリ阿久井政悟と桑原拓含め、この1995年生まれ世代は、好選手が目白押しなんだそうです。
普段、そういう観点でボクシングを見ることがないので、へー、と驚きました。
この辺、ビートの特集は、その都度注目すべきトピックスを捉えるセンスに優れていて、しばしば感心させられるところです。


ということで同級生対決でもあった日本フライ級タイトルマッチ。
初回、阿久井が圧して出る。桑原足と連打が速い。予想通りの「絵」。
後は阿久井がどの程度、桑原に窮屈な思いをさせる位置取りを繰り返せるか、それとも桑原が追われる中に、常に「逃げ」る先のスペースを確保しつつ動けるか、というところ。

そして、初回早々、桑原がしばしば、ロープ際で、もう後ろには身体を動かすスペースがないところに追われ、立たされているのが見える。
足は動くし、速い連打もある。しかしもっと「下がる」選択を出来る位置取りをし、余程丁寧に外さないと、台無しになる...と思っていたところ、桑原が左突いて、動くのでなく右を出したところに、阿久井の右ショートが炸裂。桑原、早々にダウン。
ダメージは序盤故にまだ何とかなる?にせよ、初回早々痛い失点。

2回、桑原は立て直した、とは言える奮戦。速い連打を繰り出し、足で捌く。
しかし阿久井が強い右を数発ヒット。桑原、打たれると頭や身体が大きく動く。
採点上、印象、ではなく評価として、阿久井にポイントが行く(べき)だろう、と見える。阿久井。

3回、桑原動いて阿久井が追う。ロープ際で左フックの相打ち、桑原の方が打ち勝って追撃。
阿久井、右から左返す際に、スウェイした桑原を追った分、ワイドオープンになった。桑原。

4回、同じ展開。桑原、右ボディストレート打ったあと「走って」逃げる。足がよく動く。
しかし速い連打を当てる度、阿久井の正確で強いパンチを食って、ポイントを「相殺」されてしまっている。
ロープ際で阿久井の右、桑原がのけぞる。それ以外の攻勢、攻撃も加えて、この回はやや阿久井か。

5回、微妙な回。どちらにも振れる印象だが、やや桑原か。
途中採点、2-0で阿久井。阿久井リードの採点が妥当と思えるが、思い通りの数字が出たことに、多少驚きも。


6回、採点を楽観はしていなかった?阿久井が、少し余裕を持ったか。
桑原はボディから速い連打も、右、返しの左と、単発ながらヒットを喫し、身体が後ろにずれる。やや阿久井か。
7回、桑原左ボディを3連打など、奮戦。阿久井も反撃するが、桑原。
8回、桑原の奮戦続く。左右フックを連打し、阿久井の単発を上回る。桑原。

9回、阿久井の肩越しの右が、良いタイミングで3度ばかり、桑原を脅かす。左フック相打ちはやや阿久井か。
桑原疲弊、ダメージが顔に出ている。阿久井の回。

10回、桑原コーナーから速い連打、左フック好打。しかしロープを背負った位置で右をヒットされ、ダウン寸前。
この後打ち合ってスリップ。足の速さがなくなり、阿久井にしっかり追われ、打たれる。
もう動くのでなく、速い連打でなく、右を振って反撃しようとするが、いかにも危うい。
そしてラスト15秒くらいか、阿久井のワンツーに対し、カウンターのつもりで右を振ったが、完全に遅れる。
阿久井の右が先に入る、一番危ないカウンターを食って倒れると、即座にレフェリーが試合終了を宣告しました。



展開としては、パンチャー対ボクサーが、互いのスタイルを貫けるのはどちらか、というところで激しく争った、中身の濃い試合でした。

桑原拓に関しては、過去の戦績、試合内容からして、今、ユーリ阿久井政悟と組んで「好カード」と言える段階なのかどうか、若干微妙かも、と心の片隅で思っていましたが、結果は及ばずとも、内容的には充分、善戦健闘だったと言える闘いぶりでした。
ただ、序盤からあれだけ深く踏み込まれ、追われる展開は厳しいもので、速い連打を当てて、足で捌いても、再三好打されて頭が、身体が後ろに動くと、採点上はもとより、ダメージも溜まっていき、勝ちパターンが遠のくばかり。
さらに連打を増やし、ボディも打ち、と打開を図っていましたが、最後は刀折れ矢尽き、という感じでした。


ユーリ阿久井政悟、懸命の闘いを見せた挑戦者を、初回と最終回に倒す、劇的なKOで退け、王者としての価値をまた上昇させた、見事な勝利でした。
速い連打と足を持つ相手に、慌てず騒がず、無理や無駄のない位置取りで追い詰め、強打はしても強振はしない、という感じの右で脅かす。
相打ちの左を食い、ボディも打たれていたように見えましたが、ほぼ揺るがず。展開を譲ることなく闘い抜き、最後は見事に仕留めました。

「評」云々は置くとしても、ぱっと見た「絵」として、これだけ、一見してわかりやすい風格と迫力を兼ね備えた選手は、近年の「日本フライ級チャンピオン」の中でも、そうそういないのでは、と思います。

今回、オンデマンドでライブ配信、そして解説井上尚弥、という場で、王者としての実力を存分に見せたことが、彼の今後をさらに切り拓いていく...のかどうかは、今回の配信が、視聴者数などの面で「成功」したか否か、にもよるのでしょう。
しかし今後、例えば木村翔のようなビッグネームと、同様の興行、配信形態のもと闘うとなれば、彼はさらなる脚光を浴びることでしょうし、また、そうあってほしい、そうあるべきだ、とも。



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今回はとりあえずPCに繋いだテレビ(40インチくらいのやつ)で見ましたが、スマートTVでもアプリ入れたら見られたと思います。
ただ、ブラウザによって不具合があるのか、chromeでは見られず、Edgeにすると見られました。
ライブコンテンツだから、事前に視聴出来るか確認したかったんですが、それが出来なかったため、冒頭部分が見られませんでした。
プレビュー動画でも置いといてくれたらいいのに、とその辺、少し不満もありました。

あと、視聴は一発勝負ってことだったんですかね。今のところ、アーカイブが置かれていません。こらまた厳しい。
この辺は、やることなすこと適当、と普段文句ばっかり言ってるDAZNさんに比べ、非常に不便というか...如何なものか、と思います。


しかし 試合自体はどれも熱戦で、先の八王子や刈谷に引き続き、ライブ配信で非常に充実した興行を、全部丸ごと見られて、大変満足しています(^^)
細かいところは改善してもらうとして、今後も是非、オンデマンドに「余り物」を押しつけるのでなく、これぞ!という切り札的好カード、ビッグカードをどんどん投入していく、という流れを、業界挙げて作っていってほしいものですね。


コメント (6)
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