穴にハマったアリスたち

生きてれば楽しい事がいっぱいある!の証明の為のページ。ぴちぴちピッチを大応援。第三期をぜひ!
→新章開始!ありがとう!

人魚さんを探してきた ~空印寺~

2010年05月07日 | 旅行・ジャンヌダルク
GW中、旅行に行ってました。とりあえず日記を書いてみる。

ここしばらく悟ったのが、「旅行に行くなら今しかない」ということ。
ついつい「忙しい忙しい」と言いたくなりますが、冷静に考えれば金銭的・時間的・仕事的・健康的・人間関係的に最も自由に動けるのは、おそらく今。
今の内にやりたいことはやっておきたい。

当初の予定ではフランスに行くつもりでした。
目的はオルレアンで行われているジャンヌ祭
相変わらずジャンヌさんのイラストがプリティです。あの街の人たちは、間違った何かを分かっておられる。

ただジャンヌ祭のメインイベントは毎年5月1日。
本来なら非常に行きやすい日時なのですが、今年は5月2日にTEUCHIライブがあったため、そのタイミングでの渡仏が不可能。
それならGW後半に行くかとも思ったものの、半端すぎるので土壇場で止めました。再来年のジャンヌ生誕600周年あたりを狙ってみる。

で、代わりといってはなんですが、行きたいところを検討した結果、思いついたのが空印寺だった。

■福井県小浜市 - 空印寺

所在地:福井県小浜市。
片道4時間以上かけて行ってきました。
何があるかと言えば、「八百比丘尼」の最後の土地。

八百比丘尼:
 昔々の小浜市にいたとある長者さん、ある時、友人に誘われて竜宮城へ。
 「ぜひこれを食べて欲しい」と差し出されたのが、人魚の肉。
 薄気味悪く思った長者さん、その場では食べずにお家に持ち帰り、戸棚の上に隠しました。

 それを見つけたのが長者の娘さん。当時16歳。
 美味しそうなお肉に大興奮した彼女は、ついついつまみ食い。旨い。もう一口。やっぱり旨い。もう一口。
 こうして全部食べてしまいました。

 ところがどうしたことか、それ以降、娘さんは年をとることがなくなってしまった。
 不気味に思う周囲。何より親しい人が次々と他界していき取り残される寂しさ。
 これも人魚の肉を食ったせいだと考えた娘さん、尼になって諸国を回ることに。

 行った先々で橋を建てたり、教えを語ったり。そうこうすること800年。やがて「八百比丘尼」と呼ばれるように。
 こうして日本各地を回って謎の伝説を残した後、再び彼女は生まれ故郷の小浜市へ。
 そして、空印寺の横にある洞窟に最後の居を構えると「洞窟入り口の椿の花が枯れたら、私が死んだものと思って欲しい」と言い残し、姿を消したそうな。

とりあえず「人魚=魚=食う」という漁業国家・日本の文化が垣間見える良い伝説です。
果たして長者の友人とやらは、何を考えて人魚を食わせようとしたのか謎ですし、平然と「竜宮城に行ってきた」と語る長者も異常です。
浦島太郎の苦労をなんだと思ってる。

しかしそんな些細なことよりも、主人公たる「八百比丘尼」さんがお茶目です。
16歳にもなって、「肉があったから、つい全部食べた」ですよ。
現代の16歳でもそんな無邪気な真似は、なかなかしない。

更にその後のアグレッシブさが素晴らしいです。
訳のわからん副作用で不老長寿を手に入れた後、世を儚んで嘆き悲しむのではなく、諸国を回ることを決意。
人魚パワーは単に「長生き」というだけなので、伝説にある「橋を建てた」等々は、察するに自力です。
自分で図面を引いたのか、木材担いで金槌をふるったのか、資金提供したのか、有力者を説得する役をしたのか。
細かいことは別として、行動力があることは確かです。
時代が時代だったらなら、自分自身の細胞を使って生物学を極めたりしてたんじゃなかろうか。

類似した伝説は全国各地にあるそうですが、大半は「福井県小浜市(当時の地名は若狭)」が関連しているそうです。
元ネタとなった誰かは実在していてもおかしくないかもしれません。
その頃はきっと、人魚さんもバンバン水揚げされてたんだ。



そんな小浜駅前。
行ってみてから連ドラ「ちりとてちん」の舞台だと知りました。すみません、はっきり言って人魚さんのことしか頭になかったです。
多分、人魚の踊り食いをするようなそんなドラマだったと思います。

小浜駅では貸自転車のサービスが行われていました。素晴らしい。
案内所のおばちゃんも大変親切で、丁寧に観光案内をしてくれた。
あてどもなく歩き回らなきゃいけないかと覚悟していただけに、良い意味で驚き。小浜市、頑張ってる。



海岸にある「マーメイドテラス」。
人魚さんの像が2体ある。
この娘らが食べられたと思うと悲しい気持ちになりますが、街ぐるみで人魚推しなのは良いことです。



更に海岸沿いにある「御食国若狭おばま食文化館」。一言でいえば若狭の食文化の博物館。
別名は「マーメイドプラザ」。
食文化の博物館に「マーメイド」の名をつけるとは、気合の入り方が違います。魚を食べて何が悪い。



そんな揶揄った気持ちで入館したのですが、中は予想以上に充実していました。
ていうか、小浜すごいですね。考えてみれば若狭か。
無知な自分が実に恥ずかしい。人魚さんのおかげで、少し知識が増えました。



前置きが長くなりましたが、目的の空印寺に着。
ちなみに駅から案内板が出てるので、普通に行けばすぐに分かる親切設計。
自転車借りれば5分もせずに行けます。



寺の横にあるのが、件の「八百比丘尼」の洞窟。
夏日で日差しが強かったこともあり、いわゆるおどろおどろしい雰囲気はありませんでした。
そもそも怪談じゃないですし。



右が八百比丘尼像。その横の黒い部分が洞窟入り口。

「洞窟の中にも入れる」という話を聞いていたのですが、入口の戸は締まっていました。
乗り越えられないことはない感じでしたけど、さすがにそれはやっちゃダメだろう…。
そこで、やむなく御寺の方に回ってみた。
せっかくなので拝観していこうと思い、案内に従って玄関ベルを叩いてみた。
ほどなくして出てこられた御寺の方に拝観料を払い、中へ。



軽く拝ませてもらうだけ…と思っていたのですが、御寺のおばちゃんは大変親切で、中を丁寧に案内してくれました。ありがたい。
さすがに御寺の内部深くを写真に撮るのはどうかと思ったので画像はないですが、外やネットからでは分からない話を色々と聞けました。
もしも行かれた時には、是非、訪問されることをお勧め。

御寺の中には八百比丘尼さんの像も祭ってありました。
何百年ものかは分かりません。でも、ずっと伝わってきた迫力があります。
そしてその横に、いたって普通のマーメイドのぬいぐるみが飾ってあったのがお茶目でした。現地の人の発想力は違うな!

おばちゃんが言うには、八百比丘尼さんは海外でも取り上げられたそうで、カナダの新聞記事が飾ってありました。
マーメイドの訴求力の高さがよく分かる。
また八百比丘尼さん伝説つながりで、他の伝説土地とも交流があるそうです。そういうネットワークには憧れます。
八百比丘尼さんは、他地方では人魚ではなく「貝」を食べたことになってるそうで。
「その時の貝殻」を八百比丘尼つながりで譲り受けたそうで、祭ってありました。

おばちゃんはずっと「八百比丘尼『さん』」と「さん」付けでした。
その辺に、彼女の愛され具合を感じました。
妙に神格化されるわけでもなく、かといって粗雑にされるわけでもなく。素敵な関係だ。

なお「一体何しに遠くから来たのか」と聞かれたので「八百比丘尼を見に来た」と答えたところ、「変わった人ですね」と呆れ果てられました。
観光客の団体や自治体の方も来られるそうですが、若い大人(この手の観光地のターゲット層からすれば若い)が一人で来るのは珍しいそう。
何か、ジャンヌ所縁の地に行った時と同じ立ち位置な気がする。

で、冒頭の「洞窟」ですが。
「中に入りたい」と伝えたところ、「普通に入れる」とあっさり答えられました。
扉の開け方にコツがいっただけで、別に立ち入り禁止にしてたわけではないらしい。

そんなわけで、おばちゃんから懐中電灯を貸してもらい、中へ。
たまたま家族連れが2組ほど、洞窟の前で立ち往生していたので(彼らも入り方が分からなかったらしい)、一緒に。
洞窟自体は数メートルで行き止まりですが、中は意外と暗かった。

例によって、撮影するのは憚れたので画像はなし。一番奥には石碑が建てられていました。
おばちゃん曰く、昔はもっと奥まであったのだけど国鉄が洞窟を勝手に潰したのでそこまでしかない、とのこと。JRも豪快な真似を…!

中は暗くて涼しいため、水滴が滴り落ちていました。
それを椀に集めてあり一応、飲めるようになっていた。
おばちゃんが言うには、ご利益があるとのこと。
せっかくなので貰っていこうと思ったのですが、続くおばちゃんの「水質検査はしてないけどね」の一言に、思わず踏みとどまりました。
八百比丘尼さん、ごめんなさい。ま、まぁうっかり不老長寿になっても困りますしね…。



拝観記念に貰った御煎餅。人魚さんの絵が描いてあります。もちろん食べられるし不老不死にはならない。

【追記】
 後から知りましたがゲーム「Air」の「summer編」の舞台の元ネタは空印寺だったそうな。

ひとまず目的は達したので、次に神明神社(八百姫神社)を目指してみることに。
空印寺にあった案内板によれば、八百比丘尼さんは一時期そこに住んでいたそうです。
ついでと言っては失礼だけど、せっかくなので行ってみよう。



安易な気持ちで向かった先は、予想以上の山の中でした。
普通に息が上がる。
に、人魚さん目当てでやってきて、どうして山登りをしているのか。



片道30分かけて登頂。お城の跡らしい。
ここにあった看板によれば、神社はそこから更に40分進んだ所にある。
軽く絶望しながら進みかけ、15分ほど行ったところで断念。
体力的には特攻できないこともないけれど、さすがに何の装備も準備もなしで、文明の匂いがゼロの片道1時間以上の山道は危険すぎる。
しかもさっき、空印寺のおばちゃんが「クマが出る」とか怖いこと言ってたし!

何でそんなところに人魚さん関係者が住んでたのか心底謎ですが、そんなわけで逃げかえり。
でもそれでも諦めきれなかったので、多少悩んだ末、「山を1時間以上も歩くのなら、逆サイドから登れば実はすぐなんじゃ?」と思いいたり。
自転車で山をぐるりと迂回して、逆方向から攻めてみた。



予想通り、すぐに見つかった。良かった。クマに怯えながら、1時間かけて歩かないで。

残念ながら無人だったため、詳しい話は聞けず。
案内も特になかったので、具体的にどんな逸話のある場所だったのかは不明。
ただ椿(八百比丘尼さんが好きだったらしい)の所に「白玉椿はこちら」なる案内がありました。多分、何か縁がある白玉椿なんだろう。



諸々終わって、海辺へ。名称「人魚の浜海岸」。
つくづく人魚推しです。
海水浴シーズンには早いですが、結構な人がいました。

そんな感じで観光を終え、その後、遷都1300年祭に沸く奈良に向かったのですが、長くなりそうなのでひとまず省略。
朝10時ごろに小浜市入りをし、出たのが18時前。
一日たっぷり遊び倒しました。あまりに遊び過ぎて、貸自転車を返しそこないかけ、迷惑をかけてしまったくらい。申し訳ない。

小浜市はとても感じの良い所でした。
案内所の方にも、空印寺の方にも良くしていただいた。
たまたま出会った地元のお子様たちも、元気に挨拶してくれたり、話しかけてくれたりした。

で、行ってから気づいたのですが「小浜市」といえば。

ロイターも報道!小浜市の「オバマ氏」応援 米大統領選
小浜市の「オバマフィーバー」を紹介 米NYタイムズ紙
オバマ氏から小浜市に礼状届く

オバマを勝手に応援する会

あの小浜市か…。
まさかこんな形で訪問する日が来るとは、夢にも思わなかった。
(ちなみに上述のニュースにある「礼状」は、マーメイドプラザに展示されていた)



左はマーメイドプラザ内の等身大オバマ人形。右はオバマグッズの一つ「オバマロール」。他にTシャツやキーホルダー、箸(小浜は箸の名産地)等々。

まぁ政治の絡む問題で、横合いから色々盛り上げるのは如何なものか、という気がしないでもないですが。
ここまで全力でやられると、もはや批判する方が馬鹿らしく思えてきます。これは良い力技だ。
さすが「人魚を食って諸国放浪」なんてパワフルな娘さんの末裔です。若狭の人たちに敬意を表し、日記を終えて見る。

コメント (1)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ディケイドプリキュア! 第11... | トップ | ジュエルペットてぃんくる 第... »

1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
お帰りなさい。 (由維)
2010-05-08 22:49:21
こんにちわ。
関西在住といたしましては、いたって身近な地域である「若狭小浜」ではありますが、八百比丘尼伝説のちであったとは;。

以前居りました「隣町」は、ここと姉妹都市提携しておりまして、府境の山間の農協などにも、この地域の海産物(干物などですが)販売されて居たりします。

…もしかしたら、さりげなくそんなところに人魚関係のものがあってもおかしくないな、と思いましたw。

ちなみに、自分にとっての「ファーストコンタクト人魚さん」は「マコちゃん@魔法のマコちゃん」です。
(デスパライアさまの若かりしころ、とも言いますが)

ではまた。
返信する

旅行・ジャンヌダルク」カテゴリの最新記事