Casa de lápiz:鉛筆庵

鉛筆庵に住む鍵盤奏者が日々の生活の徒然・音楽などを綴ります。

瞳は静かに

2011-12-29 23:52:55 | 映画 は行
             
2009年/アルゼンチン/108分
原題:Andrés no quiere dormir la siesta
監督・脚本:ダニエル・ブスタマンテ
出演: ノルマ・アレアンドロ、コンラッド・バレンスエラ、ファビオ・アステ、セリーナ・フォント
予告編:YouTube
ストーリー:1977年、軍事政権下のアルゼンチン。母親を事故で亡くし、祖母のオルガ(ノルマ・アレアンドロ)と暮らし始めた8歳のアンドレス(コンラッド・バレンスエラ)。遺品の中から反体制派のビラが見つかるが、「子どもにはわからない」とオルガたち大人はアンドレスをますます支配しようとする。しかし、繊細な年ごろのアンドレスは次第に大人に不信感を抱くようになり……。

私はアルゼンチンという国の歴史について殆ど知らない。ただ1977年に軍事政権下にあったこの国を一人のアンドレアスという子どもの目を通して描いた作品ということと、スペイン語の映画ということで観た。
作品全体を覆っている重苦しい空気、見えない圧力の強さに息苦しくなる。本当は何が起こっているのかは一切知らされずにいるアンドレアスの瞳に映る彼にとっての真実と、嘘で固められた現実の世界、そこでびくつきながら生きている大人たち。母と兄と3人で暮らしていたアンドレアスの瞳が、母の死によって父と祖母のもとで暮らし始めてからはっきり恐ろしいほどに変化していく。言いようのない不安、本当のことを知らされていないという相手に対する不信感をアンドレアスと共有しながら、彼のその変化を見ていた。
殆どパンフレットは買わないのだが、アルゼンチンについて知りたかったので購入した。その中で作家の星野智幸さんが書いていた一文に、自分が感じていた不安の正体の一つはこれだったのか、と深く納得し、また今一度作品を味わい直していた。

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