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2007年/ポーランド/122分
原題:Katyń
監督・脚本:アンジェイ・ワイダ
原作:アンジェイ・ムラルチク
音楽:クシシュトフ・ペンデレツキ
出演:マヤ・オスタシャースカ、アルトゥール・ジミエウスキー、マヤ・コモロフスカ、ヴワディスワフ・コヴァルスキ、アンジェイ・ヒラ、ダヌタ・ステンカ、ヤン・エングレル、
アグニェシュカ・グリンスカ、マグダレナ・チェレツカ、パヴェウ・マワシンスキ、アグニェシュカ・カヴョルスカ、アントニ・パヴリツキ、クリスティナ・ザフファトヴィチ、
ドイツのヒトラーとソ連のスターリンの密約によって、ポーランドは1939年9月1日ドイツに、9月17日ソ連に侵略された。そしてソ連の捕虜になった約15,000人のポーランド将校が、1940年を境に行方不明になった。当初は謎とされていたが、1943年春、ドイツがソ連に侵攻した際に、カティンでポーランド将校の数千人の遺体を発見し、「カティンの森」事件が明らかになった。ドイツはソ連の仕業としたが、ソ連は否定し、ドイツによる犯罪とした。戦後、ソ連の衛星国となったポーランドでは、カティンについて語ることは厳しく禁じられていた。
映画は、実際に遺された日記や手紙をもとに、「カティンの森」事件の真実を、ソ連軍に捕らえられた将校たちの姿と、彼らの帰還を待つ家族たちの姿をとおして描く。(公式サイトより)
4月7日にポーランド旅行から帰国した友人と10日にgoogle-earthでポーランドの都市とその地図上の位置とを確かめながら、ここがワルシャワ、ここがクラクフ、そしてここがカティンの森事件の起きたカティンの森のあるところ、など興味深い話を聞いた。そしてアンジェイ・ワイダ監督の『カティンの森』をどこかで観たいものだね、と話していた。と折よく、池袋・新文芸坐で公開されたので先日観に行った。
カティンの森事件については、高校の世界史の授業で触れられたけれど、その時はただ第二次世界大戦中に起きた事件ということしか学習しなかったような気がする。捕えられたポーランド人捕虜がソ連の内務人民委員部(NKVD)によって銃殺された事件、とはその当時は知らなかった。冷戦終結後、ゴルバチョフが初めて公式にソ連の仕業と認めたんだと友人が教えてくれたが、それは1990年のことだった。
自身の父親もカティンの森事件の犠牲者の一人であったというワイダ監督の手になるこの作品は戦争の残酷、悲惨、不条理etc.etcを目の前に恐ろしいまでに率直に暴き、曝け出させる。拭うことのできない悲しみ、戦争によって狂わされるその後の人生。そして何より戦争後のポーランドを再生させ担っていくはずであった知識層にあった人々がここで虐殺されたことで大戦後のソ連支配に組み込まれ(まさにそれこそがスターリンの狙いであったのかと思わされるのだが)そしてカティンについて語ることさえ禁じられてしまうような国家体制にさせられてしまったポーランドの悲劇に慄然とする。
様々なシーンが記憶に残ったが、特に深く刻まれたのは捕虜収容所でのクリスマスの日に大将が一緒に囚われているポーランド人捕虜に呼びかけるシーン「・・・生き延びてくれ。君たちなしで自由な祖国はあり得ない・・・」という彼の言葉とその後に続く荘厳な歌詞の歌が全員の歌う男声大合唱になるところ。忘れられないシーンだった。
友人にあの歌は国歌なの?と聞いたら、あれはポーランドで古くから(18世紀)歌われているクリスマス・キャロルの中でも最も愛されている神の生誕を祝うキャロル『Bóg się rodzi』(英語: God is born)だと教えてくれた。
ではYoutubeにあった『Bóg się rodzi』をどうぞ。
この作品についてのブログ記事を探しながら、お邪魔しました。
収容所歌われる合唱シーンについての言及、とても参考になりました。
私はたまたまポーランドに詳しい友人と鑑賞したので(しかもやはり同じようにこの場面は友人にとっても印象的だったので)この歌が彼の国で愛され歌い継がれてきたキャロルだということを知ることができたのは幸運でした。
あのシーンでこのキャロルというワイダ監督のセンス!!
忘れられない作品となりました。
アンジェイ・ワイダ監督は「灰とダイヤモンド」のころから注目しています。「カティン」も、ワイダ監督の執念を見る思いがします。
「キャロル」に注目されたブログ、参考になりました。
「灰とダイヤモンド」衝撃的で視覚的なラストシーンが心に残っています。ワイダ監督の思い、こうした作品が撮れるようになったポーランドの政治の変化etc.etc.について思いを馳せました。