2010年/スペイン・フランス/113分
原題:Pa Negre
監督:脚本:アウグスティ・ビリャロンガ
原作:エミリ・テシドール
出演:フランセスク・コロメール、マリナ・コマス、ノラ・ナバス、ロジェール・カサマジョール、リュイサ・カステル、マルセ・アラーナガ、マリナ・ガテイル、アリザ・クラウェット、ライア・マルール、アドゥアル・フェルナンデス、セルジ・ロペス
スペイン内戦を終えたばかりのスペイン・カタルーニャを舞台にカタルーニャの森で起きた事件を発端に畢竟、戦争とは何なのか、戦争によって人間はどうなるのか、ということを11歳の少年アンドレウの成長を通して描かれた作品。起きていることは全て彼の視点で描かれる。
小さな一つの村の中に存在する勝ち組と負け組、しかしそれで全てがぱきっと割り切れるほど世界は単純ではないことが直ぐに明らかになる。
政治、思想、社会の仕組みによって家族は翻弄され続ける。何が正義で何が真実なのかということもわからなくなる。信じていたものが次々に覆され、信じていたが故に裏切られた傷を抱くことになるアンドレウは望むと望まないに拘わらず変わらざるをえない。彼の変貌によって、戦争の持つ一つの恐ろしい断面を見ることになる。
原題の『Pa Negre』はカタルーニャ語。作品の中ではカタルーニャ語とスペイン語が使われているが、その使いわけ方、使われる場の違いに内戦がカタルーニヤにもたらした一つの面を見せられた気がした。
最初のシーンには緊張しました。
物語の展開に従って次々に明らかになっていく嘘と事実との差は衝撃でした。すっかりアンドレウの目になって観てました。
あれから彼は一体どんな大人になったんだろうか・・・と重い心で思いました。
物語の展開も衝撃的でしたが、
ラストの見送るシーンも何時までも目に焼き付いて離れません。
rubiconeさんはスペインに造詣が深いのでいろいろご存じだと思います。
私はそれほど深く無いので、鑑賞前に解説を読んでおいて良かったでした。
黒いパンと白いパンのことも映画で初めて知りました…!