2010年/80分/ギリス・フランス合作
原題:L'illusionnist
- 監督:シルバン・ショメ
- オリジナル脚本:ジャック・タチ
- 脚本・キャラクター・デザイン:シルバン・ショメ
解説:フランスの喜劇王ジャック・タチが娘のためにのこした脚本を、「ベルヴィル・ランデブー」のシルバン・ショメ監督がアニメ映画化。舞台は1950年代のパリ。初老の手品師タチシェフは、場末のバーで時代遅れの手品を披露しながら細々と暮らしていた。ある日、スコットランドの離島にたどり着き、そこで貧しい少女アリスと出会う。タチシェフを魔法使いだと信じこみ慕うアリスと、生き別れた娘の面影を重ねるタチシェフ。2人はエジンバラで一緒に暮らし始めるが……。~映画.comより
公開された当時、チラシも2種類ほど手元に置いて観たいと切望しながら機会がなく見逃してしまった作品の一つがこの「イリュージョニスト」だった。
ずっととっておいたチラシもさすがにこれだけ公開から時間が経つともう見る機会はあるまい、と年末に処分した。
ところが、連れ合いがgyaoで今観られることを教えてくれたので、しかも期間が迫ってきていたので慌てたが鑑賞できた。
この作品より前の「ベルヴィル・ランデブー」(記事→こちら)は去年秋に劇場で観ていたので、期待に胸膨らませて観た。
とにかく画面が、アニメーションが美しい!どのシーンをとってもみんな絵葉書のようでため息が出る。
そして、どこかほんわり優しい作品を想像していたのだが、それは見事に裏切られ、見終わった時に残るのは切なさと哀しさとほろ苦さ。そしてほんの少しの希望をアリスに期待する。
その切なさは例えば古道具屋のショーウインドウに置かれた人形の値段がどんどん下げられ終いにはタダになってしまい、それでもそこに打ち捨てられたように置かれているしかない、といった風な。
あるいは兎を野に放すタチシェフと放される兎の関係とか、テーブルの上に飾られた花に刻まれていく時間のとか。
胸の奥にずんと重いものを感じて観終わった。
今回観られてほんとうによかった!