2012.5.5. Sat.
解脱上人(げだつしょうにん)貞慶(じょうけい 1155-1213)の800年遠忌(おんき)の年を記念しての特別展が奈良国立博物館にて開催されている。
今日はそれに関連して東大寺ミュージアムのホールで「解脱上人貞慶フォーラム」が開催された。
西山 厚(奈良国立博物館学芸部長)氏が司会のもとに南都の錚々たる社寺の代表が集まっての異例な企画。
パネラー:
大野玄妙師(法隆寺管長)
花山院弘匡氏(春日大社宮司)
北河原公敬師(東大寺別当)
小林慶範師(笠置寺住職)
佐脇貞憲師(海住山寺住職)
多川俊映師(興福寺貫首)
西山明彦師(唐招提寺宗務長)
山田法胤師(薬師寺管主)
※五十音順
連れと一緒に頑張って時間をとって出かける。
藤原氏出身の興福寺でエリートコースを歩んでいた貞慶(じょうけい 1155-1213)は、貫首目前にして笠置寺に移り、のち海住山寺(かいじゅうせんじ)に住まった方。
釈迦如来(しゃかにょらい)・弥勒菩薩(みろくぼさつ)・観音菩薩(かんのんぼさつ)・春日明神(かすがみょうじん)をとりわけ深く信仰し、戒律(かいりつ)の復興につとめるとともに、由緒ある寺々の復興や法相教学(ほっそうきょうがく)の確立に大きな貢献を果たされた。
『自己注視』を生涯究められた方で、唯識=自分の心を網羅して認識することと捉えて精進されておられたようだ。
師の功績は大きく、仏教の荒廃していた鎌倉時代に南都の寺々復興に大きく貢献したようで、今日もこんなにたくさんの高僧が集まることとなったよう。
師の信仰心のキーワード:
自己注視・唯識
阿弥陀と弥勒
春日大明神
戒律
法相宗+舎利信仰
それぞれのお寺の信仰対象などの違いが垣間見えて実に興味深いフォーラムであった。
その後博物館の展示を拝見しながらお話を反芻させて頂いた。 素晴らしい会を企画してくださった方に感謝。
唐招提寺の国宝 『金亀舎利塔』と、海住山寺の重要文化財 『十一面観音立像』が特に心に残る。