むつ政経文科新聞 第14号 昭和53年(1978年)11月25日発行
原子力のABC④ 許容線量と自然放射能 (日本核医学学会員 桝田礼三)
許容線量とは職業上放射線を取り扱う人はやむを得ず我慢しようということで決められた線量のこと。「許容線量」という用語は国際放射線防護委員会の勧告で、一般人に対しては用いられない。しかし日本の政府や電力会社ではこの勧告を無視して、嘘の説明を繰り返している。
その一「許容線量以下だから住民に影響なし」自然界には放射線以外の原因不明の突然変異がある。許容線量とは、放射線を取り扱う人全員に遺伝子の変化が表れても社会全体からみれば従来あった突然変異の発生率以下になるように逆算して求めた数字である。これには癌や白血病など非遺伝的な病気は考慮されていない。すなわち許容線量とは安全な線量ではなくて、癌・白血病・奇形児などが十分発生しうる線量なのであり、これを生殖可能な一般人、ことに妊婦や子供に当てはめることはできない。最近米国では許容線量を100分の1の0.05レムに抑えようとしているが、これは自然放射能の20分の1である。
その二「自然放射能の10分の1で人体に影響なし」自然放射能も人体に有害な面もあり、さらに人工放射能が上乗せされるのであり、自然放射能が10分の1に減ったよう名錯覚を受けるので注意が必要である。
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