むつ政経文科新聞 第15号 昭和54年(1979年)1月5日発行
原子力のABC⑤ 半減期 (日本核医学学会員 桝田礼三)
放射性物質は不安定な元素で絶えずエネルギー(放射線)を出しながら一定の速度で壊れていく。放射性元素の半分が壊れるのに要する時間を半減期という。この半減期は各元素について常に一定で、外界のあらゆる条件に左右されない。すなわち科学の力で崩壊を速めたり遅くすることは不可能だから厄介である。放射能は生物の遺伝子を狂わせて、癌や白血病や奇形児を生み出す。放射能が無毒化するためには、少なくとも半減期の10倍の期間が必要とされている。半減期が来るとエネルギーは2分の1になり、半減期の2倍だと4分の1になり、3倍だと8分の1になる。10倍でやっと1000分の1以下になる。原子炉からは色々の放射性元素が出るが、主な元素の半減期を次に掲げる。
ヨード131(8日)、ヨード129(1700万年)、コバルト60(5年)、ストロンチウム90(28年)、炭素14(5800年)、プルトニウム239(2万年)、プルトニウム242(38万年)。
これらの中でもヨードは特に人体に取り込まれやすい物質であり、人類は今後少なくとも1憶7000万年間、放射性廃棄物の管理を義務付けられることになる。
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