非国民通信

ノーモア・コイズミ

年収400万円未満世帯の消費税負担、年平均5.44%に

2016-03-27 11:47:52 | 社会

年収1,000万円以上世帯の消費税負担、年平均42万674円に(マイナビニュース)

日本生活協同組合連合会は3月17日、「生協組合員の世帯負担消費税額」の調査結果を発表した。対象は34生協585世帯(給与所得世帯が349世帯、年金世帯が211世帯)。期間は2015年1月~12月。

2015年の年間消費税額は、1世帯あたり平均25万6,267円となり、2014年の平均24万893円から1万5,374円増加した。消費支出に占める割合は5.76%、収入に占める割合は3.83%となった。 さらに、世帯別の負担率では「年金世帯」が4.94%、「給与世帯」が3.49%となり、「年金世帯」の負担率が「給与世帯」を上回った。

所得階層別の消費税負担額は、最多の「1,000万円以上」世帯が42万674円。次いで、「800万~900万円台」世帯が30万3,222円、「600~700万円台」世帯が27万3,069円。以降「400万~500万円台」世帯が21万4,495円、「400万円未満」世帯が16万8,660円と続いた。

収入に占める消費税負担の割合をみると、「年収400万円未満」世帯が5.44%で最多に。最も低かった「年収1,000万円以上」世帯の3.12%と比較すると、1.74倍となった。

 

 さて、ここでも消費税の逆進性を示す調査結果が紹介されています。ちょっと母数は少なめですが、ヨソの調査と大きく食い違うものではありません。ある種の人々の頭の中(経済誌等々)では消費税に逆進性はないと言うことになっているようですが、現実は無情です。しかし、この結果を報じるメディアのセンスはどうなんでしょうね。見出しには「年収1,000万円以上世帯の消費税負担、年平均42万674円」と掲げられています。調査結果の眼目がそこにあるとは考えにくいところですけれど、まぁ自然と高所得者側に感情移入してしまうのが日本的な言論なのかも知れません。

 いずれにせよ、収入に占める消費税負担の割合は所得が低くなるほど高まるわけです。故・民主党を筆頭に原理主義的な逆進課税の信奉者は少なくありませんが、格差の拡大を政治的な目標にするのでないのならば、やはり消費税増税は避けられるべきものと言えます。低所得者も高所得者も課せられる税率は同じですが、収入の大半を支出に回さざるを得ない所得層と、有り余る収入の一部だけで裕福な暮らしのできる所得層とでは、当然ながら「所得に占める」税負担の割合は変わってくるのですから。

 都合の良い結論を導き出すために不適切な数値の使い方をする人もまた多いです。先般は軽減税率(単なる8%据え置き)導入を巡って「富裕層も貧困層もエンゲル係数は大差ない」と強弁して軽減税率に反対する人が多発していました。頭の悪さに、ぞっとします。つまりエンゲル係数とは「消費に占める」食費の割合であって、「所得に占める」比率ではないわけです。収入の大半を支出に回す低所得層のエンゲル係数と収入の多くを貯蓄に回す富裕層のエンゲル係数が同等でも、それは軽減税率の逆進性緩和効果を否定するものにはなりません。まぁ、そもそも8%据え置きでは~と言うところはありますが。

 ここで引用した調査では、「年金世帯」の負担率が「給与世帯」のそれを大きく上回ったことも伝えられています。そこは年金世帯と給与所得世帯の収入の差も大きく関与しているところなのでしょうけれど、ともあれ年金世帯(そして世代)には現役世代以上に手厚い配慮が、当然のこととして必要になるわけです。とかく高齢者向けの政策は嫌われがちで、「若者向け」を声高に要求するネット論客も多いですが、どうしたものでしょうね。むしろ現状は若者優遇の弊害の方が目立つと言いますか、「若くなくなった人」に冷たい社会だからこそ若者が将来を不安に思って守りに入っている傾向も強いように思います。「若くなくなった人」にこそ手厚い社会であれば、若者がイケイケになれそうなものですが、現状は真逆ですし。


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