非国民通信

ノーモア・コイズミ

I remembered Pearl Harbor

2024-08-15 21:26:32 | 政治・国際

 先日はウクライナ軍がロシアのクルスク方面へ大規模な侵攻を開始したことから、一部界隈が賑わっています。これを見て思い起こすべきは日本の真珠湾攻撃でしょうか。中国方面の戦況が思わしくない事態を打開すべくアメリカへの奇襲に打って出た日本軍は作戦当初こそ華々しい戦火を収めたわけですが、その結果は言うまでもありません。ただアメリカとすれば日本がかくも無謀な攻撃に出るとは読めていなかったようで、勝った側にも怨恨を残す戦いでもありました。

 ウクライナも日米開戦当時の日本軍と同様に思わしくない戦局を打開すべく奇襲に打って出た、ロシアはアメリカと同様に劣勢にある側が新たな戦端を開くとは予想できずと、対応が後手に回ってしまったのが現状でしょうか。ただロシア側は既にクルスク方面にも軍を移動させウクライナ軍を押し戻しつつあるほか、ウクライナ東部方面では引き続きジリジリと占領地を広げる状態が続いており、長期的に見れば太平洋戦争と同じ結果に落ち着くものと予想されます。

 

Update 242 – IAEA Director General Statement on Situation in Ukraine(IAEA)

(訳)ウクライナのザポロージェ原子力発電所(ZNPP)で、国際原子力機関(IAEA)の専門家が、夜通し複数の爆発音を聞いた後、発電所の北西エリアから濃い黒煙が出ているのを目撃した。チームは、今日、原発の冷却塔のひとつにドローンによる攻撃があったとされるとの報告を受けた。IAEAのラファエル・マリアノ・グロッシ事務局長は、原子力安全への影響はないことを確認した。

IAEAチームは、ZNPPからドローンが同発電所の冷却塔2基のうち1基を攻撃したとされるとの報告を受けたのと同時に、本日爆発音を聞いたと報告した。

 

 そして現在、クルスクとザポロージェの原子力発電所2つがウクライナ軍による攻撃を受けています。いずれもロシア及びIAEAの伝えるところではドローンによる攻撃とされている一方、国内メディアは全く別の内容を記しているわけです。

 

ザポロジエ原発で火災 ロシア放火の情報とウクライナ(共同通信)

 【キーウ共同】ウクライナのゼレンスキー大統領は11日、ロシアが占拠するウクライナ南部ザポロジエ原発の敷地内で、ロシア軍が火災を起こしたと通信アプリに投稿した。放射線量は正常だとしている。原発の対岸に位置するニコポリの当局者によると、冷却塔で大量のタイヤに放火したとの情報があるという。

 

 こちらはウクライナの元大統領であるゼレンスキーの妄言をそのまま掲載したもので、何ら根拠のない情報が前面に押し出されています。ウクライナの先勝報告然り、軍部の「こうあって欲しい」という妄想をそのままマスコミが広報しているわけで、典型的な「大本営発表」ですね。時に「事件記者ではなく警察記者」みたいな批判もあって、つまり事件そのものを取材するのではなく警察を取材して警察発表を紙面に載せるだけの報道機関が目立つところですが、今回のウクライナを舞台にしたロシアとNATOの戦争も同様、実態ではなく大本営の発表を伝えることに満足しているメディアが主流派を構成していると言えます。

 このザポロージェ原発に関しては「ロシアが占領している」という点では日米欧のメディアも一致しているにも関わらず、「誰が攻撃しているか不明」みたいな扱いを長らくされてきました。ロシアが確保している拠点に攻撃をかけるのはNATOの傀儡勢力以外にあり得ないのですが、西側の主立ったメディアは軒並みロシアによる自演説を何の根拠もなく主張してきたわけです。どうにもロシアを貶める内容でありさえすれば真偽や根拠は問わない、というのが報道の基本姿勢になっているようで、真実を伝えることを放棄してプロパガンダ機関に徹するメディアの姿勢には疑問を感じないでもありません。

 今以上に日本が主体的に関与する──つまりは他国に日本の軍隊を送り込むような戦争が起こったときも、メディアは同じことをするであろうと私は確信しています。大本営発表をそのままに、「敵」を貶めるべく創作ニュースが垂れ流されているのは80年前も今も全く変わっていません。日本軍もウクライナ軍も報道上では華々しい戦果を上げ続けていましたが、それは真実ではないわけです。そして過去と現在において繰り返されていることは、当然ながら未来においても繰り返されることでしょう。

 外国の政府高官も加担したクーデターで大統領が追放されたとき、西側諸国はウクライナを咎めませんでした。反体制派への武力攻撃も少数派住民への弾圧も停戦合意違反も、ウクライナに関しては問題視されてきませんでした。野党の活動が禁止されゼレンスキーに批判的な政治家が身柄を拘束されたときも、ウクライナの政治体制を批判する声は上がりませんでした。そして任期が切れた後も権力の座に居座るゼレンスキーを未だに大統領扱いしているわけです。

 たぶんウクライナ軍の攻撃で重大な原発事故が発生してもウクライナ側は許される、全てはロシア側の問題にされることでしょう。それを理解しているからことウクライナは躊躇なく原発への攻撃を繰り返していると言えます。しかし、このような状態において真に平和への脅威となっているのは実際にはどちらなのか、首を傾げずにはいられません。決して欧米諸国から咎められないことを知っているからこそイスラエルは民間人を犠牲にすることに躊躇がないように、ウクライナもまた同じことを続けるでしょう。

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