2009年度に新たに発生した法人税や所得税などの国税の滞納額が、前年度比16・8%減の7478億円で、大幅に減少していたことが27日、国税庁のまとめでわかった。
申告などで課税された税額を示す徴収決定済額も41兆9459億円で、前年度より9・7%減少しており、同庁では、景気低迷による税収減が滞納額の縮小につながったとみている。
発表によると、滞納残高は11年連続減少の1兆4955億円で、このうち消費税が約3分の1の4419億円だった。
国税の滞納額が減っているそうです。徴収決定済額41兆9459億円に対して、滞納額は前年度比16.8%減の7478億円だとか。徴収決定済額が9.7%減少したことを差し引いても、滞納が大幅に減っていることがわかります。そこで徴収額に対する新規滞納額の割合を計算してみると2%弱になる、滞納残高ベースで見ると3.5%程になるわけですが、この数値を皆様どうご判断されますでしょうか?
私が以前に働いていた会社では、売掛金の未回収は2~5%くらいありました。滞留額が2%程なら業界標準からするとかなり優秀らしく、このラインを目標に頑張れということでもありました。そして国税の滞納額は4%を切るラインにある、新規発生は2%以下に抑えられているわけでわけで、まぁ民間企業の感覚からすれば上出来と言えそうです。しかし、中にはもっと徴収が上手く行っている分野もあります。たとえば、総額4000億円余のうち滞納額は20億円程度に収まっている、僅かに0.5%の滞納しか許していない領域もあったりします。これと比べると国税の徴収や民間企業の債権回収は甘いのかも知れません。
ちなみに、総額の内0.5%しか滞納の発生していない分野とは、学校給食費のことです。世の中には各種の税金を滞納する大人がそれなりにいるわけですけれど、給食費を滞納する人は格段に少ないことがわかります。国税は滞納しても、給食費だけは何とか納めている、そういう人が多いのでしょう。給食費を納めるのと同程度の納税意識、給食をを納めるのと同程度の支払い意識が事業者や国民に浸透していれば、国税や売掛金の滞納額も随分と減りそうな気がします。
ちなみに滞納残高に占める消費税の割合は約3分の1に上ることが伝えられています。しかし、消費税の徴収額は国庫分で9兆円台です。徴収決定済額の4分の1にすら届きません。徴収額は4分の1以下なのに滞納額は3分の1、ちょっと釣り合いがとれていないように見える、徴収額に対して滞納額がかなり高めと言えます。俗説によると消費税は「取りやすい税」「確実に徴収できる税」「取りっぱぐれのない税」みたいな言い方をされますけれど、それはどこまで現実に符合しているのでしょうか? とりあえず明らかなのは、消費税とは徴収額の割に滞納額が大きい税ということです。それはつまり、消費税とは回収しにくい税、徴収効率の悪い税であることを示しているのではないでしょうかね。
その辺も、立場の強弱が影響している気がします。強気を助け弱気を挫くではありませんが、貧困層は怠けている(故に滞納している)かのごとく描かれ、一方で事業主ともなると不況の中でも頑張ってやりくりしているかのごとく描かれることも多いですし。
そうであるだけになおさら、利益だけに課税する税の方を中心とすべきだと思うのですが、今の政治が目指しているのはそれと正反対なんですよね……
年金を含め、社会保障受給者にはとりわけ世論は厳しいですよね。大きく貯め込んでいるところよりも、弱者を不正受給者に見立てて問題視することの方が好まれるのですから、何とも良い趣味です。