非国民通信

ノーモア・コイズミ

確かに共産党は小泉に考え方が近いのかも知れない

2013-11-20 22:55:49 | 政治・国際

共産、小泉元首相と連携も 脱原発の姿勢評価(産経新聞)

 共産党の市田忠義書記局長は13日の記者会見で、脱原発に向け安倍晋三首相に政治決断を迫った小泉純一郎元首相との連携に前向きな姿勢を示した。「考え方が大変近く一致点が多い。どういう形の力の合わせ方があるかはこれからの研究課題だ」と述べた。

 小泉氏が12日の講演で原発の「即時ゼロ」に踏み込んだことを「積極的な発言だった。われわれは(個別政策ごとに党派を超えて連携する)『一点共闘』で政治的立場が違っても力を合わせる」と評価した。

 

 「即時ゼロ」なんてのは、それこそ国民の生活を何とも思っていない無責任な人間にのみ可能な発言であるわけで、小泉純一郎にはこれ以上ないほど似つかわしい言葉ですし、脱原発が第一の共産党にとっても共感できるものなのでしょう。他にもまぁ、現実に対処するよりも理想を追うことを優先するという点では、小泉と共産党は「考え方が大変近く一致点が多い」のかも知れません。そして共産党は「(個別政策ごとに党派を超えて連携する)『一点共闘』で政治的立場が違っても力を合わせる」とのこと。やれやれ。

 アメリカの映画監督、マイケル・ムーアは「自由貿易を推進する幼児性愛者の会」とか「ジョン・ウェイン・ゲイシー(猟奇殺人鬼)・ファンクラブ」「ドールを応援するサタン崇拝者の会」といった名義で各候補に寄付として小切手を送ってみたそうです。平然と小切手を現金化する候補もいたものの、丁重に送り返してきた候補もいたようで、まぁ「変なのと付き合えば自身の良識が疑われる」ことぐらいは理解していたのでしょう。では共産党は?

 歴史的な流れを見れば潔癖主義と言いますか、独裁政権化した一部諸外国の共産主義政党等とは徹底して距離を取ってきたのが日本の共産党でしたけれど、昨今は風向きも変わったのかも知れません。中核派みたいな左翼崩れに対しても共産党は全否定の姿勢であったはずですが、中核派からの支持を歓迎する候補ともよろしくやりたいようですし、まぁ時代は変わったのでしょう。しかし、たまたま見解が一致したからと言って「朝鮮労働党と『一点共闘』で政治的立場が違っても力を合わせる」などと宣言し出す党があったら、まぁ首を傾げますね。

 小泉改革は、飲酒やギャンブルなどの悪癖に似ていると言えます。それを楽しむ人は多いが、結果は歓迎されない、と。つまり酒を飲むのが好きな人でも、アル中になったり肝臓を壊したりするのまで好む人はいない、煙草を吸いたがる人でも、肺ガンになりたいと願っているわけではないのと同じように、小泉改革もまた然りで改革に精神的な満足感を覚えながらも、その結果までを喜ぶとは限らない、そういうものではないでしょうか。朝日新聞とか典型的ですよね、あれだけ小泉ヨイショを続けてきたのに、その後に現れた小泉改革の結果には逆に否定的な記事が多い、呆れるばかりです。

 「自民党をぶっ壊す」とは小泉の発言ですけれど、この流れを多かれ少なかれ「野党」は汲んでいる、小泉が敵視したものと同じものを民主党もみんなの党も社民党も共産党も敵視している、そうした面では小泉時代の決定を徐々に改めつつある今の自民党よりも、国政上に限っては野党である民主党や、地方議会でも野党である共産党の方が「自民党をぶっ壊す」の路線に近い、共産党の書記局長が明言するように「考え方が大変近く一致点が多い」のかも知れません。

 その残した「結果」について小泉を糾弾するのが本来であれば役目ではないかと思うところですが、非科学的な脱原発を掲げれば「全ては許される」というのが共産党の見解のようです。レイシストでも猟奇殺人鬼でも、あるいは不祥事を起こして党を追放されたような人でも過激派でも、威勢良く原発を否定しておけば「一点共闘」と叫んで共産党は手を組みに行くのでしょうか。そして反対に、共産党が「手を組もうとしなかった」のは何なのかを考えると、党の現在の立ち位置が見えてくるように思います。

参考、一部では反発も、恐らく結果は

 例えば安倍政権の注力してきたデフレ脱却に関して、共産党は「一点共闘」などとは言わなかった、「政治的立場が違っても力を合わせる」素振りなどは見せてこなかったはずです。現内閣の景気刺激策の元で株価は上昇、これを受けて公的年金の運用益が21世紀に入って最高の11兆円と大幅な改善を見せたりもしました。共産党的には、これは良いことなのでしょうか、それとも苦々しい事態だったのでしょうか。社会保障を重んじるなら、ここで共闘があっても良さそうなもの、しかし専ら政府与党の経済政策に否定的であったのが実態で、まぁ「政治的立場が違っても~」とは行かなかったわけです。

 デフレ脱却には共闘の姿勢を見せなかった共産党が小泉のケツを舐めに行く――まぁ共産党にも優先順位があるのかも知れません。まず第一は脱原発であり、そのためなら犠牲を厭わないし、国民の生活を犠牲にしてきた人の罪も全て「なかったこと」にする、と。あるいは小泉と共産党とですら、なんだかんだ言って根本的なところでは似たような経済観があるのかなと、そんな気もします。

 「ボールを動かせ、ボールは疲れない」と言ったのはヨハン・クライフですが、応用すれば「お金を動かせ、お金は疲れない」とも言えそうです。まぁ、お金を動かす金融の世界は実際は激務だろうというのはさておき、ユダヤ人に対してと同じくらい「金融」への蔑みが、日本にはあるのではないでしょうか。お金を動かすことで「豊かさ」を生み出す、そういうやり方への道徳的な拒絶感が根付いているが故に、現内閣の金融政策に(現段階では)重きを置いた景気浮揚策を全否定せずにはいられない、と。

 少なくとも、お金を動かす「アベノミクス」は小泉改革と違って国民に「痛み」を強いるものではないのですが、それ故に道徳的な拒否感も強い、「お金は疲れない」が故にそこに「うしろめたさ」を感じる人が多いのではという気がします。つまり、「疲れる」やり方の方が正しい、「汗をかいて」成長するのが正しいと信じている、小泉の唱えたように「痛み」に耐えながら進むのが「正しい」のだと、そういう世界観に生きている人が多いのではないでしょうか。小泉と共産党とでは、その「痛み」の振り分け方が違うとしても、「お金を動かす」疲れないやり方ではなく「人が汗をかく」方を選びたがるという点では「考え方が大変近く一致点が多い」のかも知れません。ゆえに、デフレ脱却では「一点共闘」できなくとも、小泉なら尻尾を振れるというわけです。

 

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Unknown (くり金時)
2013-11-21 03:31:44
やれやれ、「貧すれば、鈍する。」を、地で行く話ですなぁ。やがて「共産党」が没落していくのが目に見えるようです。ま、私達しがないビンボー人にとっては、どーでも良いが、マトモな「政党」が、無いと言うのは、ごく普通の国民にとって不幸としか…。
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Unknown (非国民通信管理人)
2013-11-22 00:23:38
>くり金時さん

 むしろ野党勢の方がダメだなと感じることすら昨今は多いですね。もはや、どの党でも「絶対に投票すべきでない理由」が挙げられる始末で、どれを選んでも相応の犠牲を覚悟せねばならないというのが何とも……
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国民をナメてるのよ。 (mahlergstav)
2013-11-25 17:08:46
原発ネタは、賞味期限が切れかかっているのに、粘着する連中が多い。

原発は分かる人が少ないから適当なことを言っておいてもなんとかなると、思っているのだろう。事故直後は悲観的な情報が蔓延するので、原発の素人が脱反原発を主張するのは当然。

その後多くのことがわかってきて、事故直後の悲観的状態でないことが、国民もうすうすわかってきている。だから、賢い人々は、当初脱原発を強く主張していても、原発問題から撤退して話題を変える。自分のテリトリーである経済問題等に切り替える。だって、自分でどうしようもないことを話題にしてもしょうがない。

経済は原発よりはるかに複雑だから、あえて題材にせず、あくまでも原発に粘着する。これでは、経済問題も怪しいものだ。早い話が、国民をナメているわけだ。

そこが小泉さんと共産党の共通点でしょう。
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Unknown (非国民通信管理人)
2013-11-25 23:10:01
>mahlergstavさん

 共産党とか、震災・原発事故の直後は自重していたわけで本当は「分かっている」はずなんですけれどね。分かっているけれど、支持層に媚びて妄想型の脱原発に乗ることにしたならば二重に悪質かつ不誠実でしょうか。小泉は常に間違った判断をするという点である意味、信頼の置けるところですが、威勢良く号令を下して「やればできる」と精神論を打ち上げれば付いていく国民は今なお少なくない、まぁ舐められる側も大概です。
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Unknown (mahlergstav)
2013-11-27 17:50:23
>威勢良く号令を下して「やればできる」と精神論を打ち
>上げれば付いていく国民は今なお少なくない

必勝の信念があれば、竹槍でB29を落とせる。戦時中でも誰も信じていなかったし、付いてもいかなかったが、付いていくふりをする国民は多かった。そこが問題。
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