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Lang ist Die Zeit, es ereignet sich aber Das Wahre.

Sarah Brightman / "Symphony"

2008-03-02 15:23:28 | music6
Gothica



□ Sarah Brightman / "Symphony"

Fleurs du Mal
Symphony
Sanvean

Release Date; 15/01/2008
Label; Manhattan
Cat. No.; 5SCD05
Format: 1xCD

>> http://www.sarah-brightman.com/

>> tracklisting.

01. Gothica
02. Fleurs du Mal
03. Symphony
04. Canto Della Terra
  (Duet with Andrea Bocelli)
05. Sanvean
06. I Will Be With You (Where the Lost Ones Go)
  (Duet with Paul Stanley)
07. Schwere Traume
08. Sarai Qui
09. Storia D'Amore
10. Let It Rain
11. Attesa
12. Pasion (Duet with Fernando Lima)
13. Running


雲間から射す天使の梯子の如く澄み渡り、星のように瞬くフラジオレットヴォイス。サラ・ブライトマンの唯一無二の歌声は、もはや「gift(才能)」よりも「Divine(天与)」と称するに相応しい。

"Harem"以来5年ぶりのオリジナル・アーティストアルバムとなる"Symphony"は、彼女のルーツであるクラシック、あるいはミュージカル、ウェバー時代のオペラ歌謡で培ったパフォーマンスを前面に押し出した1997年のアルバム、"Time To Say Goodbye"のコンセプトに最も近く、その多くがクラシック・リソースやカヴァートラックであるにも関わらず、圧倒的なオリジナリティで歌い上げる。


□ デジタル・プログラミングとの決別

今作のメイントラックともいえる"Fleurs Du Mal"の導入曲に当たる"Gothica"こそ、共同プロデューサーであるFrank Petersonの面目躍如とも言えるダークなアンビエント・トラックだが、今やポップオペラ、またはクラシカルクロス・オーヴァーのアイコンともいえるほど定着した、複雑でドープなダブ処理を施したプログラミング・ビートの使用は最小限に抑えられ、導入部の味付け程度に留まっている。


□ 「シンフォニー」とロック・オペラ

"Time To Say Goodbye"での成功を経て、世界中でライブパフォーマンスを行ってきたサラ・ブライトマン。ライブにおける楽曲の再現にあたり、スタジオアルバムのトラックにライブ風の編曲を施すこともあり、"Symphony"では、そのプロセスで吸収したノウハウを凝集し、実に生々しく血の通ったアレンジを持ち味にしている。

クラシカルなオーケストレーションや、仰々しい歌劇的要素にバンドサウンドを乗せるという手法の歴史はもっと古く、アンドルー・ロイド・ウェバーも第一人者に含まれていた。その系譜は現在でもシンフォニック・メタルやゴシック・メタル、あるいはもっと細分化しながら、あらゆる音楽シーンの至る所に息衝いている。

"Symphony"はコンセプト・アルバムではないにしろ、"Gothica"~"Fleurs du Mal"に至るダークでゴシック的な世界観は、この素晴らしいジャケットアートと相俟って、アルバムの印象を支配するに十分な魅力を放っている。オルフの"Carmina Burana"をモチーフにした混声合唱が挿入される"Fleurs du Mal"は、正に60年代から続くダークウェーブ~ゴシック・ロックが追求し結んできたものへの、現代の歌姫からの一つの解答とも言えるだろう。

この曲は今年公開されるロック・ミュージカルの映画化作品"Repo! The Genetic Opera"で使用され、サラ本人も盲目の歌い手として出演するそうだ。


"Time to Say Goodbye"以降抑えられていた、甘く叙情的なエモーションが花開くように発露する表題曲"Symphony"(ドイツのロックグループ"Silbermond"の同名曲のカヴァー)、そしてあの名曲を共に歌いあげたアンドレア・ボチェッリとの再競演"Canto Della Terra"と、ポップ・オペラの醍醐味と言える選曲が続く中、あの4ADの伝説的グループ、Dead Can Danceの1994年のアルバム、"Towards the Within"から"Sanvean"をカヴァー。

リサ・ジェラルドのカッティング・ヴォイスによるこの不朽の名曲を、サラ独特の耽美で繊細な声色でレタッチしている。原曲を試聴用にアップしたので、是非聴き比べて欲しい。(私個人的にも思い入れの強い曲で、学生の頃このアルバムを聴きながら海岸を30km歩いた思い出があります。)


□ Dead Can Dance / "Towards the Within"

Sanvean

(翌年リリースされたLisa Gerrardのソロアルバム、"The Mirror Pool"にはオーケストラ版が収録されている。)



ピーターソンと組んでから発表された"FLYと"Dive"の初期2アルバムと、"Eden"や"La Luna"及び"Harem"とは、あの"Time to Say Goodbye"を挟んで、よりクラシカルに、サラのバックグラウンドを活かした方向へと大きく趣旨変えが行われているが、後期アルバムにおいても恒例のように行われてきた、トリップホップやワールドミュージック、エレクトロニカといったアンダーグラウンドなマイナートラックのカヴァー曲の存在は、初期2作品の頃から彼女の興味が決して「ポップ」としてのオリジナリティを目指すことから逸れていない、ある種の憧憬すら感じられる。

"EDEN"以降、クラシックリソースの中に積極的にポップ/オルタナ色を塗して、アルバムを一遍のストーリー的な流れで聴かせると言う方法が確立されたのも、"Time~"の成功と過去のキャリアとの一つの折衷点だったからなのかもしれない。いつか本当の意味でのオリジナル・アルバムを耳にしたいというのが一ファンとしての本音だ。


とはいえ、名だたるオペラ界のソリストを例にとってみれば、そのレパートリーとしてオリジナル曲、持ち歌が重要視されることはあまりないだろう。そういった意味で、彼女がクラシック・リソースの中に、ロックやポップの名曲を織り交ぜて歌い上げるスタンスを一貫することは、必ずしも彼女のオリジナリティの不在を疑問視する根拠にはならないのかもしれない。表題曲としての"Time to~"や"A Question~"も単体では大ヒット曲であるし、寧ろ、その中に取り上げられることの価値を認めるべきであろう。


"Sarai Qui"で競演しているイタリアの人気オペラ歌手Alessandro Safinaも、よりサラに近いスタンスで現代的なアレンジを施したポップオペラを多く発表しているが、彼の場合はオリジナル曲への評価も高く、アルバムにおいても積極的にデジタル・プログラミングを取り入れている。

"Pasion"では、今メキシコを代表するカウンターテナーであるFernando Limaを招いて、世界的にも稀有であろう高く透き通るような美声をお互いに掛け合っている。


アルバムの最後を飾る"Running"は、ホルスト「惑星」からJupiterを引用。中盤では駆け抜けるようなドラムロールに80年代的なポップコーラスを叫び上げる、"A Question of Honour"の系譜を継ぐハイライト・トラック。遙か木星から地球に届く鼓動、メッセージという壮大な二つの惑星を架け渡す情景が浮かび上がる。補足として、今作のバックヴォーカルには、サラの妹であり、Gregrorian(Frank Petersonのサイド・プロジェクト)でヴォーカルをとっているアメリア・ブライトマンも参加している。


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1 コメント

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I love this album.I love her performance in Vie... (Oceano)
2008-05-09 03:34:41
I love this album.I love her performance in Vienna, I think its totaly amazing.Polish edition have also track with polish artist as bonus :D
the bonus tracks in polish Edition are :
- Sarahbande
- I Will Be With You (duet with Andrzej Lampert)
- Hidden Track *fleurs du Mal Reprise"

I have also - Gothica Remix and Fleurs du Mal Exclusive .I think they are totaly great :D
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