lens, align.

Lang ist Die Zeit, es ereignet sich aber Das Wahre.

Slumdog Millionaire

2009-05-15 16:44:48 | 映画
Slumdogmillionaire


>> http://slumdog.gyao.jp/


□ Slumdog Millionaire

Jai Ho


Release Date; 18/04/2009
Director: Danny Boyle & Loveleen Tandan (co-director: India)
Screenplay: Simon Beaufoy
Base Novel: "Q&A" by Vikas swarup
Score: A.R. Rahman


Dev Patel / Freida Pinto / Madhur Mittal / Tanay Chheda / Ayush Mahesh Khedekar / Azharuddin Ismail / Rubina Ali / Anil Kapoor / Irrfan Khan



この映画がアカデミー8冠に輝いた理由はどれか?

A. インチキだった
B. ついていた
C. 天才だった
D. 運命だった


"It is written."
・・・私たちが「物語」に求めるものとは何だろう?

もし、“偉大な神”が世界で起こることのシナリオを記述しているとして、それは誰に何を訴える為に書かれたものなのだろう。


内容そのものはステロ過ぎる程のダニー・ボイル作品でしたね。感傷・情緒過多な映像美、お世辞にも丁寧とは言えないストーリーテリング...これがエナジー溢れる「インド」という地と運命的なくらい相性が良い!!

そしてあくまでイギリス映画であることから、インドという文化に造詣の深い人ならより楽しめるような作りが意識されています。



この映画に対する紋切り型の社会・文化的考察、及びテクニカルな批評は、もう既に多くなされていると思うので省きますが、やはり映画の外、製作に関わることで「現実の」摩擦や社会問題、スキャンダルが付きまとっているようです。


「スラムドッグ$ミリオネア」出演の子役たちの住むスラム街の住居、強制撤去される (FNN)
http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00155190.html



無学の少年ジャマールがクイズに正解し続けたという「映画内の事実」に対して、現実における「知」の統語論的意味を語るのは、観点としてはおそらく正しく無いでしょう。然し乍ら、「経験が知に先立つ」という最近のコレクティブ・インテリジェンス研究のトレンドを、皮肉を交えながらこれほど象徴的に描いた作品が支持されたことも、単なる偶然とは思えない感慨があるものです。


カーストに関わらず、民衆の誰もが夢見る「ミリオネア」。インドに犇めく多様な人々が各々の生き様を通して、明日また問題になるかもしれない何かの答えを手にしている。いわゆる「衆愚の知」は民衆のものであり、同時に権威主義的なメディアや人々そのものに返ってくる言葉でもあります。「衆愚」を知らないものが本当の「衆愚」である。

「ミリオネア」という舞台は、ジャマールという少年が通過する一局面として彼の人生に招かれたのであり、答えが彼の人生を、彼の人生が答えを真実であると、必然的に証明している。それは何よりも、人にとって「物語」が必要な最も尊い理由と符合して、ジャマールが、そしてこの映画が祝福されたことの意味すら兼ねています。

私たちの観たい物語は、現実に起きることを望むべく物語であり、描かれるべき物語なのだ。



「三銃士」の最後の一人のくだりは感動的でしたね。
出題の答えはわからないのに、ジャマールが最も望んだ答えはそこにいる。ミリオネア最後の問題と、映画冒頭の問いに対するファイナル・アンサーは正に、「彼の人生に書かれていた」ものだったのです。



Sdmsoundtrack

音楽を担当するのはインドの鬼才コンポーザー、A.R. Rahmanですが、ご当地インド音楽とテクノビートを絡めながらも、実際にはあまりにも当世的なスコア作りに拍子抜けする方も多いかもしれません。2007年の"Elizabeth: The Golden Age"では、今作と同様の音楽性の作品を多く手掛けて来たCraig Armstrongと共作しており、彼からの影響も少なからず聴き取れます。