多発性硬化症(MS)に関して,20年間にわたるpopulation-based follow up studyの結果がMayo Clinicより報告された.結論としては「長期間にわたり障害が軽度である症例ほど,その後の症状は安定しており,進行しにくい」というもの.具体的には,10年ないしそれ以上の経過観察期間において,EDSSが2.0以内にとどまっている症例では,93%の症例で次の10年の間に障害の進行はない.EDSSが2.5~4.0の場合,その値は43%となり急激に低下する.以上より,著者らは「良性のMS」を少なくとも10年の経過観察期間において,EDSSが2.0以内にとどまる症例と定義づけた(Olmsted Countyのコーホートにおける17%に相当する).このデータは免疫抑制剤などの治療選択の際に有用なデータになるものと思われる.
このデータを見て第一に感じるのは,ほとんどの症例が進行性であるということ.問題点はこのデータが日本人に当てはめられるか分からないこと.本邦でもEDSSをきちんと評価し,長期予後を検討する必要があると思われる.
Ann Neurol 56; 303-306, 2004
このデータを見て第一に感じるのは,ほとんどの症例が進行性であるということ.問題点はこのデータが日本人に当てはめられるか分からないこと.本邦でもEDSSをきちんと評価し,長期予後を検討する必要があると思われる.
Ann Neurol 56; 303-306, 2004
