Neurology 興味を持った「脳神経内科」論文

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運転中に発症した脳卒中を診るとき確認すべきこと

2024年02月19日 | 脳血管障害
日本内科学会第252回東海地方会に参加しました.興味深い症例報告がありました.心原性脳塞栓の既往があり抗凝固療法中のトラックドライバーの男性が,運転中に事故を起こし救急搬送されました.左片麻痺があり,右M2閉塞を認め,脳梗塞が原因でした(NIHSS 11点).ただ最終健常確認時刻より4.5時間が過ぎていたこと,かつ頭部外傷を合併している可能性もあることから担当医はt-PAによる血栓溶解療法を躊躇しました.ところが所属する運送会社の機転でドライブレコーダーの提出があり,左片麻痺を来した様子が写っていて発症時間が特定でき,かつ頭部の打撲もないことも分かりました.このためt-PA療法を施行し,患者さんは速やかに症状が改善,早期に退院できました.

我が国においてトラックドライバーは脳・心疾患による過労死や事故が多い職種として知られているそうです.トラックドライバーに限らず,高齢ドライバーもドライブレコーダーを装備したほうが良いのかもしれません(最近の機種は車内も記録できるそうです).また運転中に発症した脳卒中を救急外来で担当する時,今後,ドライブレコーダー搭載の有無を確認する必要があるのだなと思いました.

ちなみに図はGPT-4に作ってもらいました(笑)

山田由紀乃先生ら(碧南市民病院神経内科).ドライブレコーダーにより発症時間が判明しt-PA療法で症状の改善を認めた1例.日本内科学会第252回東海地方会


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