Neurology 興味を持った「脳神経内科」論文

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群発頭痛の遺伝的要因 ~ヒポクレチン系の関与~

2004年10月24日 | 頭痛や痛み
群発頭痛は,一側の眼窩から上顎や頭部へ広がる激しい痛みを主徴とし,流涙,鼻汁,鼻閉,結膜充血などを合併する.原因は不明であるが,一卵性双生児における罹患例や,同一家族内の発症率が高いことが知られており,何らかの遺伝要因が関与している可能性が指摘されてきた.また,画像解析によって背外側視床下部灰白質における異常信号が指摘され,同部位との関連も指摘されていた(Lancet Neurol 1; 251-2577, 2002).一方,神経ペプチドであるhypocretinは,睡眠や食欲に関与する神経ペプチドで,その受容体遺伝子の変異がナルコレプシー犬において発見され,さらにヒトナルコレプシー患者でも髄液hypocretin濃度が著明に低下していることが発見された.背外側視床下部にはHypocretin含有ニューロンが豊富に存在するため,今回,hypocretin遺伝子(HCRT)ならびに2つの受容体遺伝子(HCRTR1 & 2)の遺伝子多型と群発頭痛の関連がイタリアのグループにより検討された.
 対象は群発頭痛患者109名,対照は211名.HCRT2遺伝子の1246 G>A多型において両群間に有意差を認めた.オッズ比は6.79で95%CIは2.25~22.99であった.この結果からHCRTR2遺伝子もしくは同遺伝子座位のHCRTR2近傍の遺伝子が群発頭痛に何らかの影響を及ぼしている可能性が示唆される.今後,群発頭痛患者における髄液hypocretinの測定も行われることと思われ,結果が待たれる.

Neurology 63; 1286-1288, 2004
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