脳卒中は全世界において死因の第2位を占める疾患でありながら,その研究費は十分でないことがアメリカや英国の検討で知られている.今回,ヨーロッパ9カ国における脳卒中に関する研究費についての調査が報告された.期間は2000年~2001年で,脳卒中,虚血性心疾患,がんについての研究費を比較した.いずれに国においても脳卒中の研究費は少なく,がん研究費のわずか2~17%を占めるに過ぎなかった.またトルコを除くすべての国で虚血性心疾患が脳卒中の研究費を上回り,58%未満にしか過ぎなかった.すなわち,脳卒中の研究費不足は世界的な現象であると言えよう.
ではなぜ脳卒中の研究費が少ないのであろうか?原因は単純ではないと考えられるが,まず①治らない疾患であるという認識が強いこと(nihilism),②臨床に結びつかない基礎研究がこれまで少なからずあったこと,③heterogeneousな病態であり,研究がしにくく,研究者が少なかったこと,などが挙げられよう.しかし脳卒中がこれだけ多大な後遺症を残し,医療費に占める割合が高いことを考えると,研究ポストと研究費を増やすこと,ならびに研究の質を上げていくことは不可欠であると考えられる.もう稀な病気ばかり研究することを見直しても良い時期と思う.
Stroke 35; 2368-2371, 2004
ではなぜ脳卒中の研究費が少ないのであろうか?原因は単純ではないと考えられるが,まず①治らない疾患であるという認識が強いこと(nihilism),②臨床に結びつかない基礎研究がこれまで少なからずあったこと,③heterogeneousな病態であり,研究がしにくく,研究者が少なかったこと,などが挙げられよう.しかし脳卒中がこれだけ多大な後遺症を残し,医療費に占める割合が高いことを考えると,研究ポストと研究費を増やすこと,ならびに研究の質を上げていくことは不可欠であると考えられる.もう稀な病気ばかり研究することを見直しても良い時期と思う.
Stroke 35; 2368-2371, 2004
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