Neurology 興味を持った「脳神経内科」論文

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多系統萎縮症の診断はもはや簡単なものとは言えなくなった!@第18回パーキンソン病・運動障害疾患コングレス(宇都宮)

2024年07月11日 | 脊髄小脳変性症
標題の学会にて故郷の栃木県に来ております.私は大会長の村松慎一先生(自治医大学)に貴重な機会を頂戴し,教育セミナー「MSAの診断」という講演をさせていただきました.要旨は以下のとおりです.

◆MDS MSA診断基準(2022)は早期診断の実現を目指したものの,発症から3年以内の感度は不十分,かつ複数の問題があり,とくに mimicsをいかに除外するかは重要な課題であること.
◆hot cross bun signを呈するimaging mimicsとして,SCA27BやRFC1遺伝子関連スペクトラム障害,そして自己免疫性小脳失調症(Homer-3,KLHL11,Ri,GAD,amphiphysin,IgLON5抗体)など報告がこの10年で増えていること.
◆レム睡眠障害の合併もαシヌクレイノパチーとは限らないこと.
◆非典型的な経過や症候(舌ミオリズミア,眼球運動制限,線維束性収縮,有痛性筋痙攣等)を認める場合,IgLON5抗体関連疾患を鑑別診断に加えること.
◆MSAの診断基準を満たしていても,亜急性の経過,経過中の改善エピソード,CSF異常を認めるときは自己免疫性小脳失調症の可能性を疑うこと.
使用したスライドはこちらから自由にご覧いただけます.



当科からは以下の4演題も発表しています.いずれも臨床的インパクトは大きいと考えております.ぜひ議論させていただきたいと思います.
① Bergmann gliaに対するIgG陽性の小脳性運動失調症の臨床的特徴.竹腰顕ら(優秀演題.臨床部門ジュニア)

② 繰り返す食後の嘔吐とdistal esophageal spasmを呈した多系統萎縮症の1例.大野陽哉ら(eNeurol Sci. 13 April 2024に報告.

③ 正常圧水頭症と進行性核上性麻痺の併存例に対するシャント術の効果の予測因子.山原直紀ら(臨床神経2024; 64: 113-116に報告.

④イブニングビデオセッション.しびれ感,筋力低下とともに不随意運動を呈した60歳男性.森泰子ら(投稿中) → ニューロパチーが主体でありながら中枢性と考えられる不随意運動を呈する症例.診断に驚くと思います.



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