ピアノの音色 (愛野由美子のブログです)

クラシックピアノのレッスンと演奏活動を行っています。ちょっとした息抜きにどうぞお立ち寄り下さいませ。

ペーター・レーゼルと紀尾井シンフォニエッタ東京

2012年11月06日 | コンサート
昨日は、「紀尾井シンフォニエッタ東京」の大分公演を聴きに行きました。前半はハイドンの時計。後半はペーター・レーゼルのピアノでブラームスのピアノ協奏曲第2番でした。

このブラームスの協奏曲、生で聴くのは初めてでした。普段のコンサートではあまり登場しないピアノ協奏曲のひとつではないでしょうか? 素晴らしいオーケストラとピアノが同化して、美しく明るい響き、落ち着いた叙情的な雰囲気、どこまでも広がりを持つ雄大な流れ、そして平和な朝を迎えているような情景を創りだしていたように思います。

表面的には穏やかな曲ですが、ピアノ弾きの立場から見ればこれは難曲です。和音が分厚くて、しかも広がりを持っています。それに加えて早い跳躍や小難しいリズムが絡んでいて、本当に難しそう。この曲、私は弾いたことはありませんし、楽譜を見たこともありません。あくまで聴いたことがあるだけなのですが、聴くだけでチャレンジする勇気が出ない曲です。

リストやショパンのように、ド派手にピアノの左右を動き回ったり、ヴィルトゥオーゾをひけらかすような作品ではないのですが、この曲は地味に難しいという気がします。何気なく聴いているとそんなに難しそうには聴こえないかもしれません。私の夫なら「え、これそんなに難しいの? 君、弾けるんじゃないの?」なんて(何も知らずに)簡単に言いそうです。

リストやショパンはピアノとピアニストのことを本当に良く分かっていて、できるだけ効率的に(簡単に)ヴィルトォーゾ的な効果を出すにはどうしたらいいかということを知り尽くして曲を作っているように思います。だから聴く方からすればいかにも難しそうでも弾く方からすれば意外にスラスラ弾けるように書いてあるということがたまにあります。それに比べてこの曲はあまりピアニストの技量のことを配慮しないでひたすら表現したい音を盛り込んだという感じがします。この曲の初演はブラームス自身がピアノを演奏したそうですから、彼のピアノの実力もすごいものだったのでしょう。

その難しい曲をドイツのピアニスト、ペーター・レーゼルが本当にきらきらと美しい音色で届けてくれました。1945年生まれということですから、もう67歳にもなるのですが、素晴らしかった! とても背が高くて大きな身体で、繊細なピアニッシモからしっかり充実したフォルテシモまで、こちらの身体に染み渡るような音でした。本物のドイツ音楽を聴いたという充実感があって嬉しかったです。アンコールも何もかもが素晴らしく、本当にいい音楽を聴いたという気がしました。

今週は、偶然にも、このブラームスのピアノ協奏曲2番と、もう一つの難曲であるラフマニノフの協奏曲3番を聴きます。クラシック・ピアノ界では有名な難曲二つを素晴らしいピアニストの演奏で聴ける幸せで贅沢な週です。

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